金融政策でバブルを防止すべきか?

という問いがIMFブログで投げ掛けられている(H/T Economist's View)。著者たち(Stefan Laseen、Andrea Pescatori、Jarkko Turunen)が論文で提示した答えは、否、である。彼らによれば、その仕事はマクロプルーデンシャル政策に任せるべきだという。


彼らは、予期しない金利引き上げは、根本的な金融リスクを削減することなしに生産やインフレ率や資産価格を低下させるに留まる、と述べている。一方、金融部門のレバレッジに反応するといったルールを用いて金利引き上げを体系的に行えば、理論上は、市場参加者の金融政策予想を通じて金融リスクを削減し、社会的厚生の利得をもたらす。とはいえ、そうした理論上の話を実際に適用するに当たっては以下の4点の課題がある、と著者たちは指摘している。

  1. その政策が上手く行くためには、金融部門のレバレッジ景気循環的である必要がある。しかしこの点についての実証結果は明確ではない。一般的にはそうした傾向があるにしても、金融機関の業態によって随分話は違ってくることが別のIMF論文で指摘されている。
  2. その政策が効果を発揮するためには、レバレッジが増加している原因が十分に前以って把握されている必要がある。
  3. 下図に示されているように、目標を定めたマクロプルーデンシャル政策の方が良い結果をもたらす。それは、金利政策のようにインフレと生産の目標も同時に達成しなくてはならないという重荷を背負っていないためである。
  4. その政策を実現するためには、信頼される政策の枠組みが必要。中銀は、金融の行き過ぎと捉えたものには対応する意思と能力がある、ということを明確にする必要がある。