最も財政の信頼性が高い国

についてローレンス・コトリコフが書いている(H/T マンキュー)。

Economists have been slow to realize that the official debt and its annual change – the deficit — measures fiscal language, not fiscal policy. But the profession is now clear on the point. Over 1,200 economists, including 17 Nobel laureates in economics, have endorsed www.theinformact.org, a U.S. federal law mandating infinite-horizon fiscal gap accounting by government agencies.
Fiscal gaps are measured as the share of GDP needed to be raised each year in additional taxes to permit the government to meet all its expenditure commitments through time, including those labeled “debt service.” The most recent measurement of EU fiscal gaps was done in 2012 for 24 member states by the European Commission. The results are shown in Table 3.5 of the European Commission’s Fiscal Sustainability Report 2012.
(拙訳)
経済学者たちは、債務の公的数字とその年間の変化額――財政赤字――は財政の言語の指標であり、財政政策の指標ではないことに気付くのが遅れた。しかし今やその点についての経済学者たちの意見は明確になっている。17人のノーベル経済学賞受賞者を含む1200人以上の経済学者が、無限期間の財政ギャップ会計を政府機関に義務付ける米連邦法www.theinformact.orgを支持した。
財政ギャップは、「債務元利払い」と呼ばれているものを含めた全期間のすべて支出義務を賄うことを可能ならしめるために、毎年の追加的な税金という形で調達すべき額のGDP比率として測られる。直近のEUの財政ギャップの計測は2012年に欧州委員会によって24の加盟国について行われた。その結果は欧州委員会2012年版財政持続性報告書の表3.5に示されている。

その表からコトリコフは以下の数字を引用している。

ルクセンブルク 9.7%
ベルギー 7.4%
オランダ 5.9%
英国 5.2%
フィンランド 5.1%
スペイン 4.8%
フランス 1.6%
ドイツ 1.2%
イタリア -2.3%


24ヶ国で最も財政ギャップが低かったのはイタリアで、1800億ユーロの支出増加余地があるとの由。二大年金改革と医療費支出の抑制が効を奏したという。欧州全体の平均は2.4%。一方、米国は10.5%になるとのことである。にも関わらず、政治家たちが財政の持続性の言語指標と経済指標を区別できず、完全な破綻状態にある米国が巨額の紙幣を印刷しながら極めて低コストでの借り入れができる半面、イタリアが自国より財政状態の悪い国から財政の慎重さについて説教を受ける、という奇妙な世界になっている、とコトリコフは皮肉っている。


ちなみに日本については、2010年のこちらの論文で、中央・地方政府ベースで10.1%、一般政府ベースで15.0%という試算が示されている。