好きなミクロ的基礎付けと解けるミクロ的基礎付け

今日は、21日エントリで触れた各人のミクロ的基礎付けに関する議論のうち、Nick Roweのものを紹介してみる。


そのエントリで彼は、ミクロ的基礎付けの例としてカルボプライシングモデルを挙げ、本当はそれからランダム性を無くした方がミクロやマクロのデータとの適合性という点では望ましい、と書いている。というのは、ランダム性を無くすと、インフレの慣性が生まれるからだという。また、粘着的な価格水準だけではなく、粘着的なインフレ率も生じるという。


問題は、通常のランダムなカルボプライシングモデルは解けるが、非ランダムなモデルは解けない点にある。


この場合、4つの選択肢がある、とRoweは言う。

  1. 好きではない方のミクロ的基礎付け(ランダムな方)を仮定してマクロモデルを解く。
  2. 好きな方のミクロ的基礎付け(非ランダムな方)を仮定して、それが解けた場合にマクロモデルから導かれるであろうことについてあれこれ言う。
  3. インフレ慣性を持つアドホックフィリップス曲線の方程式を書き、非ランダム性を導入した時には大体こういうことが起きるだろう、と言い、それをマクロモデルに付け加え、これはモデルの他の方程式を支える主体の行動と整合的なはずだ、と言い、そして解く。
  4. 2番目の選択肢と同様だが、コンピュータシミュレーション(エージェントベースのモデル?)を行い、直観的にあれこれ言ったことが概ね正しかったかどうかを確かめる。