と題したブログエントリをダニ・ロドリックが書いている(原題は「Can you get rich without democracy?」)。
そこで彼は以下の図を示し、個人としては民主主義が無くても富裕になれるかもしれないが、国全体が富裕になるのは産油国で無い限り民主主義抜きでは難しい、と主張している。
この散布図に含まれるのは、人口百万人以上で燃料の輸出比率が5割以下の国全てである。民主主義の指標はここやここで紹介した研究と同様Polityのスコアを用いているとの由。
この図で非民主主義かつ一人当たり実質GDPが5000ドルを超えているのは、シンガポール、ベラルーシ、チュニジア、ヨルダン、中国の5カ国しかない。このうちベラルーシは旧ソ連の残滓であり、チュニジアは最近のアラブの政変の起点になった。中国がシンガポールの道を辿るのか、それともチュニジアの道を辿るのかは世界経済にとって(二番底云々という問題よりも)大きな意味を持つ、とロドリックは書いている。
ただし、逆に民主主義を導入すれば万事うまくいくのかというと、その点についてロドリックは少し前のエントリ(およびProject Syndicate論説)でやや否定的な見解を示している。
その最初のエントリで彼は、発展途上国と先進国の成長が逆転し、しかもその差が拡大しつつあることを示す以下の図を提示している。
ここで途上国として高い成長を示しているのは、中国やインドといった数カ国だけの話ではなく、アフリカや中南米の諸国の成長も過去10年の間に先進国に追いつきつつある、とロドリックは報告している。
ただ、この先もその成長が継続するかについてはロドリックは慎重な見方を示しており、マクロ経済政策の進化や開放経済の進展や民主主義の発達によってそうした成長が続く、と唱える楽観論者とは一線を画する姿勢を見せている。実際に高成長を継続するにはそうした施策だけでは不十分で、産業政策的な施策も必要になるが、過去の歴史に鑑みるとそれを成功させられる国は一握りに過ぎないだろう、というのが彼の見立てである。