スマート過ぎるスマート・グリッド?

についてMITの研究者が論文を書き、その概要がMITのサイトに掲載されている(後者[正確にはこのバージョン]は既に邦訳されている)。エコノブロゴスフィアではScientific American経由でEconomist's Viewが取り上げ、それにさらにKnowledge Problemというブログが反応している


その内容を一言にまとめると、電力消費者が価格にリアルタイムに反応し過ぎると、供給側がその需要の変動について行けず、系が不安定になる恐れがある、というものである。この問題の解決手段としては

  • リアルタイム度を弱める(例えば消費者価格の更新頻度を5分から1時間に変更する)
  • 卸売価格の消費者価格への反映を抑える

といった方法が考えられるが、それはリアルタイム性のリスクを抑止すると同時に、便益も減じることになってしまう。そこで

  • 消費者が予め自分の時間帯別の価格への反応情報を電力会社に伝えておき、その情報に基づいて、そうしたリスクと便益のトレードオフが最適になるように電力会社が価格変化を調整する

という方法を現在研究中との由。


これに対し、Economist's ViewのMark Thomaは、こうした問題を回避する価格体系を構築することはそれほど難しくないだろうし、消費者の価格への反応情報の収集について言えば、データは自然に手元に集まるのだから(MITの研究者が予期しているような)障壁があるようには思えない、と書いている。


また、Knowledge ProblemのMichael Gibersonは、系を脅かすほどリアルタイムに反応する消費者が多くなるとは思えないし、そうなる前に地域送電機関が電力供給業者の需要追随能力を高めさせるだろう――そのための費用を消費者から徴収するという形で――とやはり楽観的な見通しを述べている。