昨日は表題の件のWSJブログのまとめ記事を紹介したが、Economixにも同様のまとめ記事が上がっていたので、以下に拙訳で紹介する。WSJブログ版と丸被りしている引用もあれば、同じエントリからの引用でも別の部分を引いているものもあったりするのが面白いと言えば面白い。
- James Hamilton, University of California, San Diego
- 私はリンカーンと同意見だ:渡河途中で馬を代えるな。*1
- Simon Johnson, M.I.T. Sloan School of Management, BaselineScenario
- バーナンキは奇跡的な着陸をやってのけた飛行操縦士だが、飛行前のチェックを怠り、将来もっと注意深くなるようにはまったく見えない。感謝するのは自由だが、なぜまた彼(ないし彼に引き続き操縦桿を握らせる航空会社)の飛行機を利用したいと思うのだ?
- Mark Thoma, University of Oregon, Economist’s View
- FRBがこれまで実施してきた大規模な市場介入は、保守派にとってはまったく気に入らないものだが、そうした施策にも関わらず、バーナンキが一部の左派(決して左派全部ではない)の思うほどの政策を取らなかったので、突然彼に保守イデオローグのレッテルを貼り、それによって今回の再任への抵抗を説明できることになるというのか? 申し訳ないが、そうした話はまるで理屈に合わない。*2
- Tyler Cowen, George Mason University
- バーナンキが再任されなかった場合にも彼が理事の座に留まり、ドナルド・コーンが事実上のナンバー1のポストに横滑りし、皆が以前と同様に仕事をする、というプランにはダメ出しをせざるを得ない。それでうまくいくはずがない。そもそも再任されなかったらバーナンキは去るだろう。また、その協同体制がうまく行かなくなった際に、誰が責任者で何が本来の姿か、外部のものに見当がつかなくなる。その際に生じるであろう、評判を基準にした均衡状態もやはり機能しないだろうし、仮に機能したとしてもとても厄介な代物になるだろう。*3
- Dean Baker, Center for Economic and Policy Research
- 事実は、バーナンキは8兆ドルの住宅バブルを見逃していたか、歯止めを掛けないことを選択したかのいずれかだ。有能な経済学者なら誰しも、このバブルの崩壊が経済を破滅に追いやることを見て取ったはずだ。どうやったら仕事でバーナンキ氏以上に完全に失敗できるのだ?*4
- Paul Krugman of Princeton University, New York Times
- 結局のところ、私は彼の再任を支持するが、その理由は単に、彼を拒否した場合にはFRBの政策が良くなることはなく、むしろ悪くなるからだ。*5
- Edward L. Glaeser, Harvard University
- バーナンキ氏には悪い手札が配られたし、彼の行なったコールにはとやかく言う余地がある。しかし金融システムを守りきったという目覚ましい功績は、再任には十分な理由となる。誰か別の人間に交代させることは、すべてのことが順調とは程遠い時期に、不必要な混乱と移行の手間を招く。*6
- 30:59+09:00">Barry Ritholtz James Bianco, The Big Picture:言い換えれば、もしバーナンキが再任されなければ市場は下落する。というのは次のFRB議長が決まるのは何ヶ月も先だし、「ヘリコプター・ベン」とその2兆円のバランスシートほどハト派であるはずがないからだ。もし市場が下落しなければ、緊急事態の感覚は薄れ、バーナンキは再任されない。*7
- Richard Green, University of Southern California
- バーナンキを阻もうとしている人たちが、もっと良い候補者を教えてくれれば良いのだが――私には思いつかない。
- Jeffrey Miron, Harvard
- 私はベンの2期目を無条件で支持する。
- Steve Keen, University of Western Sydney
- こうした経済界の大物の首が転がれば、無謀で無能なFRBの行動によって20年以上前に設定された維持不可能な経路から、漸く米国が引き離されることになるだろう。*8
*1:cf. これ。なお、このエントリはWSJブログの引用対象と同じ(引用部は異なる)。
*2:この引用部はこの後そのまま昨日のWSJブログの引用部につながる。
*4:このエントリは昨日のWSJブログの引用対象と同じ(引用部は異なる)。ベーカー(および上述のサイモン・ジョンソン)の意見についてはこちらも参照。
*5:このop-edは昨日のWSJブログの引用対象と同じ(引用部は異なる)。
*6:これは昨日のWSJブログの引用部と同じだが、やや短い(最後のロビン・フッド云々という文が省かれている)。
*7:このエントリは昨日のWSJブログの引用対象と同じ(引用部は異なる)。著者は正確にはリソルツではなくJames Bianco。
[追記]その後、元記事も著者名の誤りに気付いて修正したので、それに合わせてこちらも修正した。