日本の鏡像としてのカナダ・補足

今日は昨日のエントリの補足として、昨日日本について描画したグラフをカナダについて描いてみる。ソースはここ(なお、このHPでは、デフォルトで表示される期間より長いデータを取ろうとすると有料になってしまうようなので、以下では四半期ではなく暦年データを使用した)。


まずは輸出と輸入の推移(単位は100万カナダドル、実質の基準年は2002年)。
実質ベースについてはGordonが3/11エントリで示しているのと同様で、2004年から2005年にかけて輸出と輸入の逆転が見られる。

一方、名目ベースでは輸出は常に輸入を上回っている。


ちなみに、2008年のカナダの実質GDPは2001年に比べ18.4%増加しており、それに対する純輸出の寄与度は-12.6%である。この実質の数字だけを見ていると、カナダ経済は輸入の増加に苦しんだように見えるが、それはもちろん、2003年以降の日本経済を実質の数字だけで外需依存と判断するのと同様の誤謬である。Gordonはこのことを「Canada's fortunes have been tied more to the prices of what we export than to the quantities.」と簡潔に説明している。
(この言葉を日本に置き換えて当てはめてみると、「Japan's misfortunes have been tied more to the prices of what we export (relative to those of what we import) than to the quantities.」ということになろうか*1。)
名目ベースでも純輸出の寄与度はマイナスになっているが(成長率44.6%に対し寄与度-3.4%)、比率としては小さく、Gordonの喩えを使うならば、ピザを数枚余計に買い過ぎた、という程度である。


実質GDIの同期間の伸び率は26.1%である。昨日のエントリに書いたように、実質GDIは実質GDPの純輸出を名目ベースに置き換えたものと概ね等しい。従って、この26.1%という数字も、上で求めた実質GDP成長率から純輸出寄与度を差し引き、名目ベースの純輸出寄与度を加えたものと近い値となる(18.4-(-12.6)-3.4=27.6%)。
また、実質GDIをそうして実質GDPから加工した値と並べて描画してみると、日本の場合と同様、カナダでもその近似が比較的良く成立することが分かる(注:実質GDIのカナダの発表値は指数値なので、ここでも指数値ベースで示した)。

*1:日本にとってさらに不幸なのは、Gordonのようにそれを見抜く経済学者がいないことかもしれない。そう考えると、このネタの大学教授再教育の講師はGordonが適任者か…。