2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

カズオ・イシグロのキャンセル・カルチャー批判

御田寺圭(白饅頭)氏の現代ビジネス記事が物議を醸している。同記事で白饅頭氏は、「リベラルは多様性を反映することを心掛けるべき」という趣旨のカズオ・イシグロの言を冒頭で引用した上で、リベラルにおける画一的な価値観への同調圧力を槍玉に挙げた。…

クルーグマン「マクロ経済学はISLM派の勝利で決着がついた(ただし一部のおかしな連中を除く)」

バイデンプランを巡る経済学者の論争(cf. ここ)についてノアピニオン氏がブログエントリを書いたところ(邦訳)、クルーグマンがツイッターで以下のように異論を唱えた*1。 So actually I think Noah, unusually, has this mostly wrong. These macro wars…

望月氏のABC理論の証明の何が問題になっているのか?

既にニュースで報じられているように、京都大学の望月新一教授によるabc予想の証明が査読を経てPRIMS特別号電子版に3月4日付で掲載されたが、本ブログの過去のエントリ(ここ、ここ、ここ)で紹介した海外の学者と望月氏との溝はむしろ深まったようである。…

新古典派成長モデルにおける市場支配力

というNBER論文をマンキューとボール(Laurence M. Ball、ジョンズ・ホプキンス大)が上げている。原題は「Market Power in Neoclassical Growth Models」で、マンキューブログでは要旨を紹介するとともにungated版にリンクしている。以下はその要旨。 This …

炭素の社会的費用、リスク、分配、市場の失敗:代替手法

というNBER論文をニコラス・スターン(Nicholas Stern、LSE)とジョセフ・スティグリッツ(Joseph E. Stiglitz、コロンビア大)という2人の大物経済学者が上げている。原題は「The Social Cost of Carbon, Risk, Distribution, Market Failures: An Alternat…

CPU価格は品質だけでなく市場ファンダメンタルズにも左右される

Gorodnichenkoの共著論文をもう一丁。以下はYuriy Gorodnichenko(UCバークレー)、Oleksandr Talavera(バーミンガム大)、Nam Hoai Vu(同)によるNBER論文「Quality and Price Setting of High-Tech Goods」(ungated版)の要旨。 This paper investigate…

政治的分極化と予想された経済の帰結

Olivier Coibion(テキサス大オースティン校)、Yuriy Gorodnichenko(UCバークレー)、Michael Weber(シカゴ大)のNBER論文をもう一丁。以下は昨年の大統領選投票日前に出された表題のNBER論文(原題は「Political Polarization and Expected Economic Out…

インフレ予想に影響を与えるのは現在ではなく将来の財政赤字

という主旨のNBER論文「Fiscal Policy and Households’ Inflation Expectations: Evidence from a Randomized Control Trial」をOlivier Coibion(テキサス大オースティン校)、Yuriy Gorodnichenko(UCバークレー)、Michael Weber(シカゴ大)のトリオが上…