G-SIBsはウィンドウ・ドレッシング行動を取っているか? 実証分析

というブンデスバンク論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「Do G-SIBs engage in window-dressing behavior? An empirical analysis」で、著者は同銀のKamil PliszkaとCarina Schlam。
以下はその要旨。

This paper examines whether global systemically important banks (G-SIBs) engage in window-dressing behavior to circumvent or reduce regulatory requirements, increasing vulnerability to economic shocks. Using a comprehensive global bank sample, we uncover evidence of such practices: G-SIBs reduce year-end exposures used for G-SIB capital buffer calculations, by roughly twice the magnitude of non-G-SIBs, and reverse these cuts early the next year. This pattern is strongest among G-SIBs that are near bucket thresholds or subject to high G-SIB capital surcharges.
(拙訳)
本稿は、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)が規制要件を回避もしくは減らすためにウィンドウ・ドレッシング行動を取って経済ショックへの脆弱性を高めているかどうかを調べた。包括的なグローバルな銀行のサンプルを用いて我々は、そうした行為の証拠を明らかにした。G-SIBsは、G-SIBの資本バッファー計算に用いられる年末のエクスポージャーを非G-SIBsのおよそ倍の大きさで減らし、翌年初めにその削減を逆転させている。このパターンはバケット閾値*1に近いG-SIBsや、G-SIB資本サーチャージ*2積み上げ対象のG-SIBsにおいて最も強い。

ブンデスバンクのリンク先には論文の概略が掲載されているが、以下はその掲載記事の図。

ぐぐると関連する資料として金融庁のスライド資料に行き当たったが、そこで紹介されているNaylorらの論文も今回の論文では参照しており、そうした既存研究のように年末のエクスポージャーの減少だけに焦点を当てるのではなく翌年初の増加も調べたことが今回の貢献、としている。

*1:cf. この文書の最終頁の表。

*2:大和総研の解説資料