先行指標としての固有性

というNBER論文が上がっているungated(SSRN)版)。原題は「Idiosyncrasy as a Leading Indicator」で、著者はRandall Morck(アルバータ大)、Bernard Yeung(シンガポール国立大)、Lu Y. Zhang(トロント州立大*1)。
以下はその要旨。

Disequilibrating macro shocks affect different firms' prospects differently, increasing idiosyncratic variation in forward-looking stock returns before affecting economic growth. Consistent with most such shocks from 1947 to 2020 enhancing productivity, increased idiosyncratic stock return variation forecasts next-quarter real GDP growth, industrial production growth, and consumption growth both in-sample and out-of-sample. These effects persist after controlling for other leading economic indicators.
(拙訳)
均衡を崩すようなマクロのショックは、相異なる企業の見通しに相異なる形で影響し、経済成長に影響するより前に、フォワードルッキングな株式のリターンの固有分散を増加させる。1947年から2020年までの生産性を増大させるようなそうしたショックの大半と整合する形で、株式リターン固有分散の増加は、次の四半期の実質GDP成長、工業生産の成長、および消費成長をインサンプルとアウトオブサンプルの両方で予測した。この効果は他の先行的な経済指標をコントロールした後でも残った。

ungated版の本文によると、固有分散として主に用いている指標は、株式のリターンをマーケットインデックスに回帰した残差の分散と、回帰式で説明できる分散との比率との由(回帰は各企業について四半期内の日次ベース、各分散の集計値は時価ウエイト平均とのこと)。