というブルームバーグコラムを、利上げ前の13日にコチャラコタが書いている(原題は「The Fed's Unspoken Mandate」)。
The U.S. Federal Reserve’s two main goals are to promote maximum employment and keep inflation close to 2 percent. But it also acts as if it has another, unspoken mandate: Don’t do anything too radical in pursuit of those goals. This allegiance to what’s considered “normal” harms a lot of people, black Americans in particular.
(拙訳)
米国のFRBの2つの目標は、最大限の雇用の促進とインフレを2%に近付けることである。しかしFRBは、恰も、語られざるもう一つの使命が存在しているかのように行動している。その使命とは、それらの目標の追求に際し過度に急進的なことをするなかれ、というものである。「正常」と見做されることへのこの忠誠は、多くの人々、特に黒人を傷付けている。
この後コチャラコタは、2010年11月に高い失業率と低いインフレ率の見通しを前にFRBが十分な緩和策を取らなかったこと、および、FRBの行動パターンを描写しているテイラールールで金利引き下げが十分でないことを、この語られざる使命の傍証として挙げている。また、その使命は金利変動を抑えるので銀行と長期債投資家には有利に働くが、失業率と物価の変動を大きくするので黒人をはじめとする多くの米国人には不利に働く、と指摘している。
論説は以下のように結ばれている。
I’m often asked how the Fed can use the rather blunt tool of monetary policy to mitigate racial inequities. One simple answer: Stop putting so much weight on the unspoken mandate of “normal” monetary policy. This would help all Americans, and -- assuming historical patterns hold true -- particularly black Americans.
This week, the Fed will probably increase its short-term interest-rate target by another quarter percentage point and announce plans to shrink its bond holdings. Officials will portray the moves as necessary to “normalize” monetary policy, providing further evidence that the unspoken mandate is a key shaper of Fed policy, and that all Americans -- especially black Americans -- remain needlessly exposed to excessive economic risk.
(拙訳)
かなり切れ味の悪い金融政策ツールを使ってFRBはどのように人種間の格差を縮小できるか、と私は良く訊かれる。一つの単純な答えは、「正常な」金融政策という語られざる使命にそれほどの重きを置くのを止めよ、というものだ。そのことはすべての米国人にとって助けとなるし、過去のパターンが成立することを前提にするならば、特に黒人の助けとなる。
今週、FRBはおそらく短期金利目標をまた0.25%引き上げ、保有債券の圧縮計画についての声明を出すだろう。高官たちは、そうした動きを金融政策の「正常化」に必要なもの、と説明するだろう。それは、語られざる使命がFRBの政策を形成する鍵となっており、すべての米国人、就中黒人が不必要に過剰な経済リスクに曝されている、というさらなる証拠を提供する。