もう二度と計量経済学に触れない学生への計量経済学の教え方

Marc Bellemare(cf. ここここ)がMetrics Mondayで、先月20日に紹介した Angrist=Pischke論文を取り上げている。そこでBellemareは、Angrist=Pischkeは、Dieboldの言うG2ないしノアピニオン氏の言う構造モデルを別に否定しているわけではなく、単に後回しにしろと言っているのではないか、という解釈を示している。

The way I understand their paper, they are not saying that forecasting or proper modeling of the DGP should not be taught–just that it should come after teaching students the relatively simpler, less arcane, and no-less-useful ideas that underlie causal inference and issues of research design.
The way I see it, many undergraduates will never take another econometrics class ever again. Since our job as teachers of undergraduates is to form responsible citizens, and not researchers, I feel like our students are better served when we teach them not to get hoodwinked by causal claims made on the basis of mere correlations. For me, that is a much more important component of critical thinking than knowing which specification test to apply to a regression.
(拙訳)
私が理解したところでは、この論文は、予測やデータ生成過程の適切なモデル化を教えるべきではない、とは言ってない。ただ、それを教えるのは、因果関係の推定や研究デザインの根底をなす、相対的に単純で、難易度が低く、それでいて同程度に有用な考えを教えた後にするべきだ、と言っているのである。
私の見たところでは、多くの学部生は計量経済学の別の講座を取ることは決してない。学部生を教える教師としての我々の仕事は、責任ある市民を育てることであって、研究者を育てることではない。私が思うに、単なる相関に基いてなされた因果関係の主張にだまされないことを教えるのが、学生にとってよりためになると思う。私にとってそれは、回帰にどの検定方法を当てはめるかを知るよりも遥かに重要な、批判的思考法の構成要素である。