水曜道化ショー

少し前のエントリで「FRBがとんだ道化を演じた可能性」について言及したが、ライアン・アベントが「A Federal Reserve clown show」というそのものずばりのタイトルの記事をFree Exchangeに書いている(H/T 本石町日記さんツイート*1)。小生は前述のエントリで統計の季節調整ミスにFRBが踊らされた可能性を示唆したのだが、アベントはそもそもFRBが統計から離れたところで踊っている可能性を指摘している。
以下はその記事の結論部。

I simply don't understand how so many FOMC members have taken their eye off the ball. America is suffering from an ongoing economic disaster. A persistent demand shortfall and prolonged unemployment are costing the country trillions of dollars. When someone comes to the meeting complaining that traders think QE will go on indefinitely the majority of the FOMC should forcefully respond: so what? Let the traders talk about QE-infinity; let them shout it from the rooftops! When we're close to full employment and wage growth is back above the long-run trend there will be plenty of opportunity for the hawks to strut. Until then publicly obsessing about exit strategies is utter foolishness.
(拙訳)
なぜFOMCのあれほど多くの委員がボールから目を離したのか本当に理解不能だ。米国は打ち続く経済的災厄に今も苦しんでいる。継続的な需要不足と長引く失業は、国に何兆ドルという重荷を負わせている。誰かがFOMCの会合にやって来て、トレーダーはQEが永遠に続くと思っているぞ、と文句を垂れたとしても、FOMC委員の大部分ははっきりと「それが何か?」と反応すべきなのだ。トレーダーが無限QEについて話したければ、そうさせておけば? 彼らが屋上から叫びたければ、そうさせておけ! 経済が完全雇用に近付き、賃金の上昇率が長期トレンドを上回るまでに回復したならば、タカ派が幅を利かせる機会は幾らでも出てくる。それまでは、出口戦略について公けの場であれこれ言うのは完全な愚行である。

*1:余談だが、アベントはいわゆるリフレ派に近い考えの持ち主なので(cf.たとえばここ)、本石町日記さんがこの記事に対し「禿同の内容」とコメントしたことに一瞬驚いた。ただ、ここではアベントの考えるFOMCのあるべき方向性ではなく、迷走しているという現状認識について同意したということのようである。