David Andolfattoが、米国政府債務の期間構造は社会的に最適な状態になっておらず、QEは統合政府の長期債務(=長期国債)を短期債務(=準備預金)に変換することによって最適な状態に近付けているのではないか、と主張している。
その根拠としてAndolfattoは、長短金利差が(常にではないにせよ)概ね正であり、過去7年間にFRBが毎年800億ドル以上を政府に納付していたことを挙げている。
この主張は前エントリで打ち出されたものだが、それに対するLawrence White(ジョージ・メイソン大、ケイトー研究所)の批判に答えた今回のエントリでより明確化されている。各論点について、Andolfattoは以下のように論じている。
- デュレーションリスクの問題
- 金利上昇時の資産のキャピタルロスと、それに伴う国庫納付金減少の可能性
- Whiteは「正常化」によって銀行の準備が稀少だった時代に戻るべし、と言うが、流動性を稀少化することの正当性の理由は何か?
- ミルトン・フリードマンは、最適債務政策はすべての流動性プレミアムを削減する、と論じた。自分の知る限り、ほぼすべての経済モデルがこの考え方を支持している。歴史的な規準に従うべし、というのは経済学的な議論ではない。
Andoltfattoは最後に、とはいってもFRBは政府の負担を減らすためにQEを行うべきではなく、あくまでの自らの2つの任務(物価安定と雇用最大化)を行うために行うべきである、と述べている。ただそれが結果として政府の助けとなっているならば、慌ててバランスシートを縮小する必要は無いのでは、というのが彼の主張である。