民主党議員有志がフリーバンキング導入を提唱へ

民主党日本銀行出身者を中心する議員が、日本にフリーバンキング制度を導入するための研究会を発足させることが明らかとなった。同党が反対票を投じた岩田規久男氏が日銀副総裁に就任したことを受けて、日本銀行から通貨発行権の独占権を剥奪することが狙い。
会の中心メンバーとなった議員は「今回の日銀執行部人事により、私の出身母体である愛する日本銀行は殺されたも同然だ。こうなったら中央銀行制度そのものを廃し、通貨の信認を真に守る銀行が通貨発行銀行間の競争を通じて優位に立つ形に制度を抜本的に作り直すしかない」と研究会発足の目的を語る。また別の議員は「5年前の日銀執行部人事では、インフレ目標を掲げる学者が副総裁に就任することを民主党が体を張って阻止し、日銀生え抜きの総裁が誕生することに貢献した。その結果として通貨の信認が高まり、円の価値が国際的にも上昇した。しかし今回は残念ながら通貨の信認を毀損しかねない執行部の誕生を阻止することができなかった。こうなった原因の一つは、通貨発行権を持つ銀行が一つしかなく、その執行部が時の政権の意向に流されやすい点にある。今回の件で、通貨の信認に関して我々と常に意見を同じくする通貨発行銀行の必要性を痛感した」と参加の動機を語った。
フリーバンキング制度は、南北戦争時の米国など歴史上の導入事例はあるが、現代における主要国での導入例は無い。ノーベル経済学賞を受賞したハイエクなど、オーストリア学派と呼ばれる経済学者は同制度の導入に積極的だが、経済学界の中では少数派に留まっている。にも関わらず今回の民主党の一部議員が同制度導入の検討を始めたことは、従来の日銀路線の支持者が今回の執行部人事で受けた衝撃の大きさを物語っていると言えそうだ。