と題した1/14付けハッフィントンポスト記事でジェフリー・サックスが、オバマ政権は連邦政府の雇用を拡大していると報じたWSJ社説に噛み付いた(Economist's View経由;原題は「How the Wall Street Journal Misleads About Federal Jobs」)。
サックスが問題にしたのは、下図のように連邦政府の雇用が2008年の187.5万人から2011年の210万人に増加したことを、オバマ政権による政府の肥大化であるかのようにWSJが書き立てたことにある。
これに対しサックスは、次のような指摘を行っている:
- 210万人という数字は1981年(レーガン政権初期)、1989年(レーガン政権末期)、1993年(ブッシュ父政権末期)と同水準。
- その後の20万〜30万の減少は国防総省の人員削減に対応しており、おそらくは民間の国防関係の請負業者の増加(図のデータソースである行政管理予算局の表には掲載されていない)で相殺されるもの。
- 特に長期的なトレンドは存在しない(下図)。
さらにサックスは、政府の肥大化が社会福祉の野放図な拡大の結果であるかのように印象付けようとするWSJの姿勢を批判し、最近の雇用の増大は主に安全保障関連であることを数字で示している。即ち、2008-2011年の22.5万人の増加のうち、四分の三は以下の4項目から来ているという:
またサックスは、政府雇用が全体に占める割合は僅かなものに過ぎないのに、WSJはプロパガンダ目的のために針小棒大に騒ぎ立てている、と批判し、次のように論じる:
- 22.5万の増加は、1億3100万の非農業雇用人口において0.17%の話に過ぎない。
- 全連邦政府職員を合わせても、同人口の1.6%を占めるに過ぎない。しかもその数字は、1981年の2.3%から下がっている(下図)。
- その低下傾向の理由の一つは、(特に国防関係において)政治的に癒着している組織にアウトソーシングしていることにあろう。もう一つの理由は、環境、職業訓練、地域開発など、国防に関係が無く、WSJを読まないような貧困層や労働者階級に裨益する分野を縮小してきたことにある。
つまり、政府の肥大化に伴う無駄があるにしても、それは軍事費や高価格の民間医療サービスへの支払いなど、WSJが支持するような分野における無駄である、とサックスは主張する。即ち、それは1%の人々のための無駄であり、99%の人々のための支出は――いかにWSJが嘘の図で誤魔化そうとも――縮小し続けているのだ、と強烈なWSJ批判で彼はこの記事を締めくくっている。