コント:ポール君とグレッグ君

新年あけましておめでとうございます。


今年最初のエントリということで、昨年、クルーグマンとマンキューがブログでお互いに対し当てこすりや皮肉をぶつけていたのを、コント風にまとめてみた。初笑いになるかどうかは分からないが、ネタとして読み流していただければ幸甚。


俗事は任せる

ポール君*1
グレッグ君のヘルスケア問題の論説をどう思うかって? 俗事はソーマ、デロング、ベーカーに任せる。

新規失業件数

ポール君
グレッグ君は2008年1月の新規の失業給付申請がこれまでの景気後退期に比べて少ないとか言っているらしいけど、お〜っと残念、1月最終週は跳ね上がりました!

豚が空を飛んだ!

グレッグ君
僕とポール君の意見が一致したよ。

獣を飢えさせろ

グレッグ君
ポール君は「獣を飢えさせろ」理論――減税が小さな政府につながるという理論――が嫌いみたいだけど、事実であることを認めているみたいだね。しかもその辺のスタンスはロバート・ライシュと一緒だ*2

呉越同舟

グレッグ君
ポール君とアラン・レイノルズは政治的立場は真逆だけど、石油価格高騰が投機家のせいではないということでは意見が一致したようだね。オバマ候補は投機家を狙い撃ちしたいみたいだけどね。

事実確認

ポール君
グレッグ君は米国の法人税が高いというTax Foundationの話を鵜呑みにして紹介しているけど、ちょっと事実確認をした人の意見は皆違うみたいだよ。

カナダの社会保険制度

グレッグ君
ポール君は、ある討論会で聴衆のカナダ人にカナダの社会保険制度をどう思うかと訊いたところ、皆ひどい制度だと思う方に手を挙げたので、困ったそうだよ。

ノーベル賞

グレッグ君
ポール君、ノーベル賞おめでとう! ポール君の業績を紹介した論文のほか、彼のNYTコラムを分析した論文(注:クルーグマンへの人格批判が書かれている)も紹介しておくよ。

過敏、過敏*3

ポール君
オバマ政権ではこれまでと違い、ちゃんとした大人たちが経済閣僚になるようで何より。
グレッグ君
確かにオバマ政権の経済チームは素晴らしいけど、ブッシュ政権に参加した経済学者とランク付けで比較すると、それほど差がないんだけどね? もちろん、大人か否かを、ポール君と同意見か否かで決めるなら話は別だけど。
ポール君
親愛なるグレッグ君、僕は主にティム・ガイトナーとジョン・スノーを比べてたんだよ。君の事じゃないんだ。

リフレ政策

ポール君
グレッグ君が、FRBは今後10年間の相当のインフレを約束することで今回の危機に対応すべきだと提案している。素晴らしいアイディアだ。僕が自分で思いつければよかったんだが。いや待てよ…。良く考えたら10年前に思いついていたな。
グレッグ君
ポール君が、僕が彼の名前を出さなかったことでむかっ腹を立てているみたいだね。ごめん、ポール君。でも僕の教科書では君の論文を引用しているんだけどね。まあ、学者が自分の業績がきちんと引用されていないと感じるのは職業病みたいなものだけど、ノーベル賞を取ればそれは消えるものだと思っていた。僕の勘違いだね。
ポール君
あれれ、僕の業績を認めろ、と言ったつもりはないんだけどね、そう受け止められても仕方ない書き方だったかな。キーボードを叩く前にもう少し脳味噌を使った方が良かったね。

こうしてみると、二人のブログの間で会話のピンポンが成立し始めたのは去年の最後の方になってからで、それまでは基本的に言いっ放しになっていたことが分かる。今年はそうしたコントがもっと見られることを期待したい(?)

*1:正確にはこれは昨年ではなく2007年のエントリ。

*2:クルーグマンはライシュを政策プロモーターとして批難し、学者として認めていない。こここの本を参照。

*3:この「コント」ではokemosさんの訳を一部拝借した。