2008年の最もおバカな経済シーン21

ワイルダー経由で、フォーチュンの記事より。

  1. デトロイトがリッチなスタイル(=会社の自家用ジェット機)で困窮を申し立て
  2. 最も骨折り損な自動車旅行
    • 自家用ジェット機はもう問題外…、でも地下鉄はそこまで延びていないし、バイクでは死んじゃうし、そうだ、我が社のハイブリッド車デトロイトからワシントンまで10時間運転しよう!
       
  3. ポールソンが3ページの提案書で7000億ドルを要望
    • 不良モーゲージ資産を買い上げる7000億ドルの白紙小切手を要求したが、カネの支出方法と対象についての詳細は記述がほとんどなし。
       
  4. 救済の膨張
    • 今度は451ページの提案書になったが、なぜか中には子供用の弓矢の玩具への減税まで含まれていた。
       
  5. モジロの「むかつく」全員に返信
    • カントリーワイドのCEOだったモジロが、困窮した住宅オーナーの助けを訴えるメールを、「信じがたい」「むかつく」という評価を添えて同僚に転送するつもりで、誤って「全員に返信」ボタンを押してしまった。7月にバンカメがカントリーワイドを買収した後、彼は放り出された。
       
  6. 999.99ドルのiフォンアプリ
    • "I Am Rich"という999.99ドルのスクリーンセーバー(赤い宝石を表示するだけ)が、アップルストアの陳列棚に紛れ込んだ。アップル側はこっそりラインアップから外したが、8人のカモが買った後だった。
       
  7. ポールソンの「バズーカ」がバックファイア
    • フレディマックファニーメイが躓いた時、ポールソン財務長官は議会に、モーゲージ債権者に政府資金を提供すると約束するだけで市場は落ち着く、実際に支出することはない、と請け合った。曰く、「もしポケットの中にあるのが水鉄砲だったら、実際に取り出す羽目になるかもしれない。しかし、バズーカを持っていて皆がそれを知っていたら、取り出す必要はないかもしれない」。2ヵ月後、財務省は両社を事実上買収したが、これにより納税者に何十億ドルもの負担が生じる可能性がある。
       
  8. ファニーメイの誇大妄想
    • ファニーメイのCEOダン・マッドは、5月に、モーゲージ市場の競争が弱まったことにより、GSEは大いに利益を得るだろう、と予測した。9月にファニーメイは政府の管理下に入り、マッドは職を追われた。
       
  9. 石油のハニートラップ
    • 内務省の監察官は、職員が、監督下の石油会社の社員と、賄賂、性的関係、麻薬を通じて癒着していることを突き止めた。
       
  10. 地球温暖化は「戯言」だ
    • シボレーボルトの開発担当役員が、地球温暖化を「まったくの戯言」と評して、環境保護主義者に格好の攻撃材料を与えてしまった。
       
  11. 住宅保有者救済の失敗
    • 「住宅保有者に希望を」というプランを誰も覚えていないだろうが、7月に議会が通した今のところ唯一の住宅救済法案である。3000億ドルのモーゲージを保証し、30万戸以上の住宅差し押さえを防ぐはずだったが、銀行に自主的な損失を求める必要があることも災いし、10/1の施行以来の申請件数は321件に留まった上、実施に至ったものはまだ1件も無い。
       
  12. コックスの空売り禁止
    • SEC長官のクリストファー・コックスが799の金融株に対する空売り禁止を導入したが、その後も株価は下がり続けた。結果的に、政府の恣意的な規制を嫌気した投資家の株式および債券市場からの資本逃避を招いただけ、という批判もある。
       
  13. マケインの現実否定
    • 9月15日にリーマンが破産した時、マケイン共和党大統領候補は、「経済のファンダメンタルズは強い」と発言した。その日の終わりまでに、ダウは500ポイント以上下げ、ブラック・マンデーと呼ばれた。マケインの低迷もそこから加速した。
       
  14. オバマNAFTA批判
    • オバマの経済顧問であるオースタン・グールズビーが、2月に、カナダの当局者に、オバマ候補が本気でNAFTA見直しを考えているわけではないと密かに釈明。米国のブルーカラー労働者層が、NAFTAにより仕事がカナダとメキシコに流出したと考えていることを受け、オバマはそのように発言したが、これをグールズビーはカナダ当局者に「政治的策略」と説明した。グールズビーとの会談に関するカナダ政府のメモがリークされ、グールズビーは、以後、選挙期間終了までマスコミとの接触を禁じられた。
       
  15. マイクロソフトがヤフーを高値掴みしそうに
    • マイクロソフトは446億ドルでヤフーを買収しようとしたが、ジェリー・ヤンの頑なな態度を崩せず、失敗。1株当たり31ドルという2月の申し入れは、61%のプレミアムを乗せたものだった。年末にはヤフーの株価は12ドルまで下がり、時価総額も170億ドルになっている。
       
  16. ヤフーがマイクロソフトの買収案を拒否
    • ヤフーの間抜けな失敗だった。
       
  17. SECがマドフの詐欺を見抜けず
    • 株価下落で追い詰められたマドフが事実上自首するまで、米国市場最大のポンツィ・スキームが明らかになることはなかった。
       
  18. 石油投機家への怒り
    • 石油トレーダーやヘッジファンドが石油価格を吊り上げた、と議会で聴聞会が開かれるまでに非難がエスカレートしたが、石油価格下落で沙汰止みに。下落の方の原因は、グローバル経済危機による需要の落ち込みであるとの由。
       
  19. ジョブスの「誇張された」死
    • 8月にブルームバーグが誤ってアップルCEOのスティーブ・ジョブスの死亡記事を流した。かつて膵臓がんを患ったものの、彼はまだピンピンしていた。10月にはCNNのユーザーによるサイト(CGMサイト)iReportで、ジョブスが心臓発作に襲われたという投稿があり、アップルの株価が10分間で10%下がった。ジョブスがその次にメディアの前に登場した時は、「私の死の報道は非常に誇張されている」というメッセージを映した巨大スクリーンを背にしていた。
    • ワイルダーのコメント:UALでもそういうことがあったわよね?
       
  20. フィル・グラムの「精神上の景気後退」
    • 7月初め、金融危機実体経済に広まりつつあった頃、マケイン陣営のフィル・グラム前上院議員が、有権者の経済的な問題を、「泣き言の国」「精神上の景気後退」と評した*1
       
  21. ビル・ミラーの賭け失敗
    • レッグ・メイソン・キャピタル・マネージメントのミラーCIOは、15年連続で市場に勝ってきたが、2008年12月2日までの彼のレッグ・メイソン・バリュー・トラストの下落率は59%に達し、S&P500の下落率38%を大きく上回った。ベア・スターンズAIGフレディマックなど金融株に大きく賭けていたのが敗因。

*1:そういえば日本でも原爆病院の人たちに「病は気から」と言った首相がいたな…。