故意のバッキン!

周知の通り、自らのマサチューセッツ州知事時代の政策を手本にしたオバマ政権の医療保険制度(オバマケア)を自分が大統領になったら撤廃する、とロムニーは宣言しているが、そのロムニーの経済顧問であるマンキューが素知らぬ顔で、オバマケアを合憲と判断した最高裁判断の論理は自分の昔のブログポストと似ているね、と書いている


ただ、その昔(2007/12/18)のブログポストというのは、オバマケアを擁護するというよりは、医療保険の義務化についてクルーグマンは騒ぎ過ぎ、と窘めることに力点が置かれた内容になっている。そこで、(最近ネタが無い)「コント:ポール君とグレッグ君」スタイルでそれを紹介してみる。

グレッグ君
医療保険について議論する時、義務化しないと逆選択の問題が解決できない、と大騒ぎする人がいる。そのことでオバマ案について大いに嘆いてみせたポール君なんかその典型だけど、でも良く考えてみると、そういった表現はちょっと誇張し過ぎじゃないかな。というのは、義務というのは罰則の限りにおいてのみ有効なものであって、僕の知る限り、保険加入しない人を刑務所に放り込むと主張している人はいない。単に、罰金を払わせる、ということだけなんだ。つまりここで言う義務化とは、保険に加入する経済的インセンティブの話に過ぎないんだ。
その話の延長として、次の2つの提案を考えてみよう。
  1. 医療保険加入が義務化された。その義務を果たさないと、1000ドルの罰金が課される。その罰金はすべての納税者に一括して還元される。
  2. 医療保険加入は義務化されていない。しかし、加入者は1000ドルの税額控除が受けられる。その税額控除の負担は、一括税の形で全納税者に課される。
この2つのシナリオには経済的な意味での違いが無いことに注意しよう。意味論的な違いしか無いんだ。いずれのケースにおいても、医療保険に加入するインセンティブとして1000ドルが提示される。それがプラン2のように飴であるか、それともプラン1のように鞭であるかは、大した問題では無い。問題なのは、そのインセンティブの規模なんだ。
追記:友人に教わったけど、レン・バーマン、ジェイソン・ファーマン、ロバートソン・ウィリアムズがそのことを既に指摘していたブッシュ大統領の提案について次のように書いているけど、よくまとまっているね。

実際、政権の提案はマサチューセッツの義務化政策とよく似ている。事実上、誰もが7500ドルもしくは15000ドルの控除が受けられ、医療保険に加入しない「罰則」はその控除が受けられないことである。