3つの一人当たりGDP・補足

前回エントリの最後で、「GDP指標の各国比較の際に使われる購買力平価の動向が、実際の対ドルレートの動向と国によってかなり異同があるというのは、注意を要する」と書いたが、その購買力平価(PPP)と、WEOデータベースに収録されているCPIの各国と米国の比を比較してみたのが下図である(PPPが右軸、米国はCPIそのものと2017年時点購買力平価の一人当たりGDPをドル建て一人当たりGDPで割ったものとの比較)。

これも国によって差はあるが、CPI指数の比率というかなりラフな指標でもPPPの大まかな方向性をある程度捉えられることが分かる。
日本については右肩下がりの傾向が目立つが、良く見るとアベノミクスの期間はそれがいったん緩やかになり、コロナ禍後の米国のインフレの進展でまた元のトレンドに戻ったことが分かる。また、以前本ブログで指摘したように、アベノミクス以前の低下トレンドについても、1980年代は日米の生産性格差を伴っていたのに対し、1990年代以降にそれは無くなって主に日本のデフレ要因を反映するようになったという裏があることには注意を要する。