「Is the United States Relying on Foreign Investors to Fund Its Larger Budget Deficit?」と題したNY連銀ブログエントリで、Thomas KlitgaardとLinda Wangが以下の3枚のグラフを示している。
1枚目のグラフは経常収支で、危機前は経常赤字がGDPの5%程度に達していたものの、最近では平均2.5%以下の比較的狭いレンジで推移しており、直近の2018年第2四半期は、年初のトランプ減税発動後にもかからわず、むしろ2.0%に低下している。
2枚目のグラフは総貯蓄と総投資で、近年の経常赤字の減少は、総投資よりも速く総貯蓄が伸びたことに起因していることが分かる。問題の2018年に入ってからも、総貯蓄に落ち込みは見られない。
3枚目のグラフは政府部門の貯蓄で、大不況期の財政出動で赤字が膨らんだものの、近年は歳出削減で赤字が大きく減っていた。ただ、2018年前半にやはり赤字額は増えており、額にすると政府部門貯蓄は年率で約3000億ドル前年からマイナスになっている。
以上から分かるのは、政府部門の赤字増加は対外借り入れ増に今のところ結びついておらず、民間の貯蓄増で賄われている、ということだ、と著者たちは言う。具体的には、2018年前半に企業部門は3700億ドル、家計部門は1050億ドル前年から貯蓄が増加している。ただ、今後企業が減税で得た利益を顧客や従業員に還元したり、投資に回したりする可能性もある。また、政府支出が今後さらに増えていけば、海外借り入れが増える可能性もある、と述べて著者たちは記事を結んでいる。