英国の金融サービス機構(FSA)長官を務め、近著「債務、さもなくば悪魔」でヘリコプターマネー政策を提唱したアデア・ターナー氏が、立憲民主党の経済顧問に就任することが明らかになった。実現すれば、アベノミクスによる金融緩和に反対してきた立憲民主党が、その経済政策を180度転換することになる。
立憲民主党の関係者は、記者の取材に応じて、次のように語った。「我々はアベノミクスに対抗する経済政策を策定するために研究を続けてきた。当初は、アベノミクスの問題点は過剰な金融緩和策にあると考えていたが、海外の一流と言われる経済学者の意見を取材する中で、金融政策と財政政策の協調が取れていないことが問題ではないか、と認識するようになった。そこで、財金協調について最も明確な政策提言を打ち出しているターナー氏に三顧の礼を尽くして顧問就任をお願いしたところ、引き受けてもらうことができた。」
同党の別の関係者によれば、ポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツなど米国の民主党系の経済学者にも何らかの形で政策助言をしてもらうことを交渉中だという。「クルーグマンなどはアベノミクスは支持しているが、経済政策以外の面では必ずしも安倍政権の共和党寄りの方針を支持してはいない。その点では、むしろ我が党との相性が良いはずだ」と同関係者は語る。
衆議院の野党第一党である立憲民主党に海外から強力な経済学者の応援団が付くことになれば、経済政策を一つの売りにしてきた安倍政権にとって大きな脅威になりそうだ。