男の子は幼児保育の質の差に左右されやすい

という結果を示したNBER論文を、ノーベル経済学賞を2000年に受賞したジェームズ・ヘックマンらが上げている(論文自体も公開されている)。論文のタイトルは「Gender Differences in the Benefits of an Influential Early Childhood Program」で、著者はJorge Luis García、James J. Heckman、Anna L. Ziff(いずれもシカゴ大)。
以下はその要旨。

This paper estimates gender differences in life-cycle impacts across multiple domains of an influential enriched early childhood program targeted toward disadvantaged children that was evaluated by the method of random assignment. We assess the impacts of the program on promoting or alleviating population differences in outcomes by gender. For many outcomes, boys benefit relatively more from high-quality center childcare programs compared to low-quality programs. For them, home care, even in disadvantaged environments, is more beneficial than lower-quality center childcare for many outcomes. This phenomenon is not found for girls. We investigate the sources of the gender differentials in impacts.
(拙訳)
本稿は、恵まれない子供たちを対象とした影響力のある内容豊かな幼児期プログラムが、ライフサイクルの様々な面に対して与える影響の性差を、ランダム割り当ての手法で推計した。我々はプログラムが影響結果全体における性差の違いを促すのか、それとも緩和するのかを推定した。男の子にとっては、質の低いセンターに比べた質の高いセンターによる保育プログラムの恩恵が、多くの面において相対的に大きかった。彼らにとって在宅保育は、恵まれない環境においてであっても、質の低いセンター保育よりも多くの点において恩恵が大きかった。女の子ではこうした現象は見られなかった。我々は影響の性差の原因を探った。


この研究結果は昨年末にハッフィントンポストでも紹介されている元記事。ただしこちらの記事では性差に焦点を当てた上記の論文ではなく、幼児期保育の効果そのものに焦点を当てた別論文をベースにしている)。