死をもたらすカタストロフの回避

というNBER論文が上がっている。原題は「Averting Catastrophes that Kill」で、著者はIan Martin(LSE)、Robert S. Pindyck(MIT)。
以下はその要旨。

We face a variety of potential catastrophes; nuclear or bioterrorism, a climate catastrophe, and a "mega-virus" are examples. Martin and Pindyck (AER 2015) showed that decisions to avert such catastrophes are interdependent, so that simple cost-benefit analysis breaks down. They assumed that catastrophic events cause "destruction," i.e., a reduction in the stream of consumption. But some catastrophes cause death instead of, or in addition to, destruction. Here we incorporate death in a model of catastrophe avoidance, and show how it affects the interdependence of catastrophic events and the "willingness to pay" to avoid those events.
(拙訳)
我々は様々なカタストロフの可能性に直面している。核やバイオのテロ、気候変動のカタストロフ、および、「メガウイルス」がその例である。マーチン=ピンディック(AER 2015)*1は、それらのカタストロフを避けようとする決定には相互依存性があるため、単純な費用便益分析が成立しないことを示した。同論文では、カタストロフが「破壊」、即ち消費流列の減少をもたらすことを仮定していた。しかしカタストロフの中には、破壊の代わりに、もしくは破壊に加えて、死をもたらすものもある。本稿では、カタストロフ回避のモデルに死を織り込み、それがカタストロフ的な出来事の相互依存性、ならびに、そうした出来事を避けるために「どの程度進んで支払うか」に、どのように影響するかを示す。

*1:cf. ここ