引き続き生産性ネタ。Tim Taylorがマッキンゼーレポートから、米国の生産性成長率低下に関する6つの要因を挙げている。
- 最近の生産性減速は分母ではなく分子要因
- 1995-2004年の生産性成長率は高かったが、それは2つの期間に分けられる。1995-2000年は分子の付加価値が伸びていたのに対し、2001-2004年は分母の労働時間の伸びが減少した。
- 2009年の景気後退終了後は、付加価値の成長率が以前より低くなった。
- 高生産性成長部門から低生産性成長部門への人の移動が生産性成長率を下げた
- 1987-2014年において、製造業から医療・事務サービス部門への人の移動が、年成長率を0.2%ポイント下げた。
- ただしこのことは、サービス部門の生産が適切に計測されているか、という問題を提起する。たとえば医療サービスによって健康は30年前より改善したが、それは経済統計で適切に捕捉されていないだろう。
- 生産性の減速は、生産性成長率が上昇した部門が相対的に少なくなった時期に生じた
- 1995-2000年の生産性ブームの際は、小売業や卸売業のように雇用の大きい部門が生産性を加速させるとともに、コンピュータや電気機器のような部門でも生産性が急速に上昇した。多くの年において、対象60産業のうち20産業以上が生産性を加速させた。総労働時間に占める比率が30-40%に達する年もあった。
- 最近は、6部門でしか生産性の加速が起きなかった。総労働時間に占める比率は2-7%、総付加価値に占める比率は5-8%に過ぎない。具体的には、原油・ガス採掘、石油・石炭精製、および輸送産業であった。
- 生産性減速は、投資減速を伴った
- 1995-2004年の期間は、大部分の資産、特に情報資本とソフトウエアにおいて、資本集約度の成長ブームがあった。この時期は労働生産性成長率も高かった。
- 2009-2014年は、すべての種類の資産において生産性成長率と資本集約度成長率が共に常に低かった。これは生産性減速が特定の技術や産業の問題ではなく、全体的な問題であることを示唆している。
- 多くの低生産性部門はデジタル化が遅れている
- 米経済のダイナミズムが衰えている