についてFrancis Dieboldが3つのエントリに亘って論じている(ここ、ここ、ここ;H/T Economist's View)。
彼が挙げた両者の相違は以下の2点。
- 機械学習は因果関係の無い予測に重点を置くが、計量経済学は因果関係のある予測に重点を置く。
- 換言すれば、機械学習は条件付き期待値を求めようとするが、計量経済学は偏微分を求めようとする。
- 時系列分析のように、計量経済学も因果関係の無い予測を求めることがあるが、その歴史は機械学習より遥かに古い。また、その場合は統計学に近いとも言える。「データサイエンティストとは何か?」「サンフランシスコに住んでいる統計学者のことさ」という古いジョークがその間の消息を物語っている。
- 計量経済学(および統計学)は、不確実性の確率的な評価に関心がある。一方、機械学習は点予測で満足してしまうことが多い。計量経済学(および統計学)は、区間予測、最終的には密度予測をしたいと望んでいる。
- この相違の理由は以下の2つ。
- 計量経済学(および統計学)は、不確実性そのものが本質的に経済学的に興味深い、と考えている。
- 市場リスク、信用リスク、カウンターパーティリスク、システミックリスク、インフレリスク、景気循環リスク、等々。
- 計量経済学(および統計学)は、機械学習が暗黙裡に採っている確実性等価の手法を明らかに好ましく思っていない。その手法で機械学習は、点予測を単純に決定規則に置き換えている。確実性等価が成立する線形象限ガウシアンの世界は、計量経済学(および統計学)屋にとってはそれほど共感を覚える世界ではない(cf. Dieboldの以前のポスト)。