ユニバーサル・ベーシック・インカム:マンキューの指摘

マンキューが、平均所得が5万ドルだが所得格差が大きい経済における以下の2つの社会保障政策を比較している

  1. 皆に1万ドルを移転。財源は所得への20%のフラット・タックス。
  2. 資力調査を伴う1万ドルの移転。所得の無い人には満額が支給され、所得が増加するにつれ支給額は減少する(所得が1ドル増加するごとに20セント減少する)。財源は、所得の5万ドルを超える分への20%のフラット・タックス。

このエントリのネタ元になったのは、シカゴ大のIGMフォーラムのベーシックインカムに関する経済学者へのアンケート調査。マンキューは、そこで寄せられた幾つかの意見を上記のスキームに当てはめて以下のように集約している。

  • 政策1は狂っている。ビル・ゲイツが政府の所得移転を受ける謂れは無い。彼はそれを必要としていないのに、我々はそのために増税しなくてはならないのだ。
  • 政策2の方がより累進的である。所得移転の対象者が本当に必要な人に絞られていて、増税額が少なくて済み、しかも平均以上の所得を得ている人に負担者が限られている。

だが、この2つのスキームは等価であり、各人の純支払い(=税−所得移転)は全く同じである、とマンキューは指摘している。


実際、所得をYとして各人の純収入を表すと、

  • 政策1
    • Y*0.8+10000
  • 政策2
    • 所得が5万ドル以下:Y+(10000-Y*0.2) = Y*0.8+10000
    • 所得が5万ドル超  :Y-(Y-50000)*0.2 = Y*0.8+10000

となり、等しくなる。