第一四半期の残存季節性の神話

以前、米国の第一四半期の成長率が残存季節性によって低くなる、というSF連銀の報告を紹介したが、NY連銀ブログでそれに対する反論が出ている。Jan GroenとPatrick Russoが書いた表題ブログ記事(原題は「The Myth of First-Quarter Residual Seasonality」)によると、第一四半期の低成長率は、季節調整の問題ではなく、異例の悪天候のせいだという。


彼らはまず、1975〜2015年第一四半期の期間において、10年ウィンドウを動かしながらGDP成長率を定数項と四半期ダミーに回帰し、確かに直近10年の第一四半期ダミーの回帰係数(下図の右端に相当)が年率2%程度の有意なマイナスになることを確認している。
     

一方、第二四半期と第四四半期のダミーの係数は決して有意になることは無かったという。


この結果は、景気後退ダミーを入れて景気循環をコントロールした場合でも同様だったという(下図)。
     


しかし、冬の天候が通常より厳冬だったかどうかをコントロールするため、四半期中の月次気温が平年をどの程度下回っていたかを示す気温の乖離度の変数を入れたところ、以下のように有意性が消えたとの由。
     

彼らは、成長率を単に定数項と前期の成長率に回帰した式よりは、説明変数に当期と前期の気温の乖離度を加えた式の方がアウトオブサンプルの予測力が高かった、という結果も報告しており、悪天候の情報はGDP成長率を追い掛ける上で有用、と述べている。