第二季節調整で分かること

SF連銀のEconomic Letterで、Glenn D. Rudebusch、Daniel Wilson、Tim Mahedyが、今年第一四半期の米国の経済成長の弱さは季節調整の問題ではないか、と書いている


そこで彼らは以下の図を掲げ、過去25年間において、第一四半期の成長率が他の四半期に比べて低めだったことを示している。

1990年代は、第一四半期の平均成長率は2.6%、それ以外の四半期は3.6%だったという。2000年代もその差は1%だったが、2010-2014年にその差が2.3%まで拡大したとのことである。
こうした「残存季節性(residual seasonality)」が生じることは、算出元の商務省経済分析局も認識しているという。商務省の季節調整は、GDPを計算する元データを個々に季節調整するというボトムアップの手法を取っているとのことだが、その手法で季節性が残ってしまう原因としてレポートでは、以下の3つを挙げている。

  1. 個々の様々な系列では小さなものに留まっている小さな季節パターンが、GDP推計として積み上げた際に顕著な季節パターンとして表れてしまう
  2. 月次レベルで季節調整されている系列が、四半期に集約された時に、月次では表れていなかった季節パターンを示してしまう
  3. 名目支出や生産データと関連する価格データは別々に季節調整されることが多いが、インフレ調整済みの実質GDPを推計するために両者を結び付ける際に残存季節性が出てしまう

従って、残存季節性は商務省のボトムアップの季節調整手法を反映している、というのがレポートの見立てである。実際、消費や投資などGDPの主要系列においても残存季節性は見られる、という。


そこでレポートが行ったのが、商務省公表の季節調整済みGDPに改めて季節調整を掛ける、という操作である。それによって、各四半期の成長率は以下のように変化したという。


また、時系列推移は以下のようになったとの由。

即ち、今年第一四半期の成長率は0.2%から1.8%になったとのことである。


レポートでは、GDIについても同様の傾向が見られた、と報告している。また、リーマン・ショックや最近の悪天候の影響で、むしろ第一四半期の成長率が季節調整によって過大評価される傾向が出てくるのではないか、という見方に触れて、そうした要因があったとしても、引き下げ要因の方が強いことが今回の分析で分かった、と述べている。


(ちなみに、以前、uncorrelatedさんがののわさんのツイートを見て何の話だろうと訝しんでいたことがあり、小生も同様に何の話だろう、と思っていたのだが、どうもこの話だったようである[cf. 別の関連ツイート]。[違ったらごめんなさい])