コント:ポール君とグレッグ君(2013年第8弾)

両者が直接対決したわけではないが、一応拾っておきます。

グレッグ君
ニーアル・ファーガソンがポール君に挑んでいるね:その1その2その3
ポール君
トロール(ネット荒らし)に餌をやるつもりはない:最近、僕に向けられたある暴言にいつ応えるつもりか、と訊いて来る読者がいるが、その答えは、応えることは決して無い、だ。ただ、もし本当に然るべき反応が読みたいならば、僕の邪悪な取り巻きが書いているのを読むと良い…ノア・スミスジョシュ・バローだ。

なお、上のマンキューのエントリは10/12付けなので、10/11付けのクルーグマンのエントリより後だが、並び的には前に持ってきた方が座りが良いので、ここではその順番にしてみた。


また、クルーグマンの「僕の邪悪な取り巻き」(my sinister claque)という文言は、ファーガソンの以下の文章を受けている:

For too long, Paul Krugman has exploited his authority as an award-winning economist and his power as a New York Times columnist to heap opprobrium on anyone who ventures to disagree with him. Along the way, he has acquired a claque of like-minded bloggers who play a sinister game of tag with him, endorsing his attacks and adding vitriol of their own. I would like to name and shame in this context Dean Baker, Josh Barro, Brad DeLong, Matthew O'Brien, Noah Smith, Matthew Yglesias and Justin Wolfers. Krugman and his acolytes evidently relish the viciousness of their attacks, priding themselves on the crassness of their language. But I should like to know what qualifies a figure like Matt O'Brien to call anyone a "disingenuous idiot"? What exactly are his credentials? 35,550 tweets? How does he essentially differ from the cranks who, before the Internet, had to vent their spleen by writing letters in green ink?
(拙訳)
ポール・クルーグマンは、余りにも長きに亘って、賞を受けた経済学者としての自らの権威とニューヨークタイムズのコラムニストとしての力を利用し、敢えて彼に異を唱えるものに罵声を浴びせてきた。その過程で彼は、似たような心性のブロガーの取り巻きを得たが、彼らは邪悪な鬼ごっこ遊びを彼と共にし、彼の攻撃を支持し、自らもまた攻撃相手に悪口を浴びせた。そのような恥ずかしい連中として、ディーン・ベーカー、ジョシュ・バロー、ブラッド・デロング、マシュー・オブライエン、ノア・スミス、マシュー・イグレシアス、ジャスティン・ウルファーズの名を挙げておきたい。クルーグマンとその侍従たちは明らかに自分たちの攻撃の悪質さを楽しんでおり、自分たちの言葉の下品さを誇っている。だが、マット・オブライエンのような人物が何の資格を以って人のことを「不誠実な阿呆」と呼ぶのか私は知りたい。彼の業績とは何なのだ? 35,550のツイートか? インターネット以前の時代に新聞に訳の分からない投書をして憂さを晴らしていた変人たちと、彼は基本的にどう違うというのか?

ちなみにこの文章にはデロングが反応し、それにさらに10/14付けエントリでクルーグマン反応した。両者とも、オブライエンにはその資格がある、とファーガソンに反論している。デロングは、オブライエンが知力と勉強によってファーガソンが不誠実な阿呆のように振舞っていることに気付いたならば、彼にはそれを指摘する資格があるのみならず、むしろ指摘するのが道徳的な義務となる、と述べている。クルーグマンは、学界での業績は話に耳を傾けてもらう助けにはなるが、それ以上のものではなく、自分の考えを受け入れてもらうための必要条件でも十分条件でもない、と書いている。さらにオブライエン自身も、権威を振りかざすのは実質的な議論ができないことを意味するので良くない兆し、と皮肉っている(H/T ノアピニオン氏エントリ*1)。


クルーグマンがリンクしたジョシュ・バローも上記のファーガソンの文章を引用し、自分がクルーグマンの従者のリスト入りしたことを知ったら親父が絶対悲しむ、と書いている(その際、わざわざここで紹介したクルーグマンロバート・バロー批判エントリにリンクしている)。


ディーン・ベーカーは、ファーガソンのリストはおかしい、例えばジョシュ・バローは自分のことをリバタリアンと思っているはずだ、リストに挙げられたブロガーの真の共通点はファーガソンの馬鹿げた発言に憤慨してブログでそれを訂正しようとしたことだけだ、と指摘している。そして、その点についての自分の考えを以下のように書いている。

Krugman and my fellow like-minded bloggers can speak for themselves, but I am not going apologize if I am occasionally rude to an ill-informed overpaid Harvard professor making absurd pronouncements on economics that have the effect of obstructing policy aimed at ending unnecessary suffering.
(拙訳)
クルーグマンや私の同輩の似たような心性のブロガーたちはいざ知らず、給料貰い過ぎの無知なハーバード大教授が不必要な苦痛を終わらせるための政策を妨害するような経済学に関する馬鹿げた発言をしたことに対して私が時々無礼に振舞ったとしても、詫びるつもりは無い。

*1:クルーグマンがリンクしたエントリ。ノアピニオン氏はこのためにブログ休暇を一時中断したとの由。