キプロス政府がユーロ圏から100億ユーロの金融支援を受ける代わりに、銀行預金を封鎖してそれに課税し、GDPの1/3に相当する58億ユーロを捻出する、というベイルアウトならぬベイルイン政策を打ち出したが、ブロゴスフィアの反応は概ね否定的と言える。The Macro Manはまったくもって馬鹿げた愚かな考え(utterly idiotic, stupid idea)と腐し、エド・ハリソン(Naked Capitalismにクロスポスト)は他の周縁国の預金者への悪影響(very negative implications for bank depositor confidence in other European periphery countries)を憂慮し、Nick Roweは自国通貨を持つ国が課すインフレ税と違って現金には掛からずに銀行預金だけに掛かる税金は銀行への取り付け騒ぎを招く恐れがある(if they expect it to happen again they will try to get out of bank deposits into currency. Which is a bank run.)と警告し、フェリックス・サーモンは自棄っぱちの最後の手段(a last-resort desperation move)と評した*1。Wonkblogはエントリに「今日のキプロス救済が次なる危機の始まりとなり得る理由(Why today’s Cyprus bailout could be the start of the next financial crisis)」、FT Alphavilleは「馬鹿げた考えが日の目を見た(A stupid idea whose time had come)」という見出しを掲げている。
今回の政策の問題点については、タイラー・コーエンがリンクしたエコノミスト誌のSchumpeterブログが以下の3点にうまくまとめている。
- コンテイジョン(伝染)リスクの惹起
- 欧州の銀行預金者はこれまでの危機をほぼ無傷で乗り切ってきたが、今回の措置により、自らの預金に負担が強いられるという欧州周縁国の預金者にとって有り難くない前例が出来た。