朝三暮四の経済学

WSJがローリー・サントス(Laurie Santos)准教授率いるイェール大学の比較認知科学研究所(Comparative Cognition Laboratory)の研究を紹介しているMostly Economics経由)。そこではオマキザルに貨幣を与えるというユニークな実験経済学を実施しているという。


以下は記事が紹介している主な実験結果。

  • 食べ物と交換できる12個のコインの入った財布を与えたところ、人間と同様の行動が見られた。研究者がある食べ物の値段を変えると、猿たちは自分に最も有利な取引を見つけようとした。彼らはまた、一度にすべてのコインを使い切ってしまい、貯蓄しようとはしなかった。
  • 一番目の研究者は猿に2個のリンゴを見せ、コイン一つにつき一つのリンゴしか渡さなかった。二番目の研究者は1個のリンゴを見せ、それをコインと交換した。猿たちは二番目の研究者との取引を強く選好し、2個のリンゴを見せられて1個しか得られない取引を嫌った。
  • 同じコインに対し、青のジェロは少ししか貰えないが、赤のジェロは沢山貰えるように設定した。その後、どちらのジェロを選好するか見たところ、特に選好に偏りは見られなかった。人間ならば「高価な」青のジェロを選好するところなので、その点で両種族に差が見られたことになる。
    • この結果に対する一つの解釈は、人間の経済行動には「文化やメタ意識」といった複雑な要因が絡むが、猿の場合はそうではない、というものである。サントス博士が提示するもう一つの可能性は、「猿の方が人間より合理的」というものである。