経済危機が米国の人口増加を鈍化させた

とUSA Todayが報じているThe Big Picture経由)。


同記事がセンサス局のデータを基にまとめたところによると、2009年以降の人口増加率は2年連続して0.7%となったが、これは1930年代以来の低さだという(その前は1%程度の増加が続いていたとの由)。2010年7月1日から2011年7月までの増加幅は220万人で(その結果2011年の人口は3.116億人となった)、10年前の280万人より減少している。出生数は、2008-2009年に比べて20万人減少し、移民の数は15万人減少した。


記事では、この低下には景気後退が大きく影響している、という専門家(Population Reference BureauなるNPOに所属するCarl Haub)の見解を引用している。それによると、人々は出産を遅らせ、移民も仕事の機会が減ったため減少したとの由。


また、別の専門家(Joseph Chamie)によると、2.1という人口補充水準に近く、他の先進国より高かった米国の出生率も、このところ1.9まで落ちてきたと見られる、という。ただ、そうした落ち込みもいずれは(完全にではないにしても)埋め合わされ、今世紀半ばには米国の人口は4億人に達するだろう、という見通しも同時に示されている。


なお、記事の後半では、人口増加が必ずしも経済成長と同義とは限らない、という都市設計士のBill Fultonの言葉も引用している。Fultonが例として挙げるのはラスベガスとピッツバーグで、前者は人口増加に沸いた際に低賃金の仕事が多く生み出されたが、住宅市場の崩壊と共にそれも消え去った。一方、後者は人口は減少したが家計資産は上昇した、との由。またFultonは、人口増加に伴うスプロール現象の負担にどこまで環境が耐えられるか分からない、とも警告している。