老人が我々の職を盗んでいる!

という穏やかならぬタイトルの記事で、FT Alphavilleのイザベラ・カミンスカが以下のグラフを紹介している。ソースはシティのSteven Englanderのレポートとの由。


この図を見ると、働き盛りの25-54歳の雇用人口比率は2007年以降に大きく下がったのに対し、55歳以上の同比率はほぼ横ばいで、65歳以上ではむしろ一貫して緩やかな増加を続けている。


ここで紹介したように、最近のエントリクルーグマンは、人口が増加している高齢者の雇用人口比率が低下している可能性を考慮してconstant-demography employmentを計測したわけだが、その気遣いは無用だったことになる。


Englanderは、このように高齢者の労働参加率が上昇している理由として、以下の3つを挙げている。

  1. 単に高齢者が以前より元気になったという人口動態的な話。
  2. 貯蓄率が減少しているために引退しにくくなったという構造的問題。
  3. 資産に頼って暮らすのが2008年初めに比べ難しくなったという(負の)資産効果

その上で、高齢者が資産ではなく所得から消費する傾向は、米国の経常赤字を減少させ、米ドルを強くするのに貢献するかも――ただしこのレベルのシフトではまだその効果は限られるが――という観測を示している。