スポーツは子供を賢くするか?

というテーマでドイツで行った実証研究の報告がvoxeuに掲載されている


その結果は以下の表にまとめられている。

これを見ると、

  • 学業成績
  • 感情の問題
  • 仲間との関係

がスポーツによって有意に改善している。このうち学業成績は認知能力(cognitive skills)、それ以外は認知に直接関係しない能力(non-cognitive skills)として表では分類されている。
ただ、記事では触れられていないが、認知に直接関係しない能力のうち、行動の問題、ADHD反社会的行動には改善が見られない。有体に言ってしまえば、社会病質にはスポーツは効果が無い、というように読める。


一方、リア充度(wellbeing)は全体では有意に改善しているが、分野別に見ると、5%水準で有意なのは身体、友人、学校で、精神と家族では有意では無い。その点も記事では触れられていないが、単純に解釈すると、子供の心や家族関係の悩みはスポーツでは解決できない、ということになる。


また、健康(health)については、意外にもBMI、太り過ぎ、肥満、皮下脂肪といった項目では効果が無く、脈拍と主観的な健康状態のみ有意に改善している。


なお、認知ないし認知に関係しない能力についても、スポーツによって改善したのではなく、元々そうした能力が高い子供がスポーツに勤しんだ、という可能性も考えられるが、それについては研究ではきちんと考慮されており、子供の特性の時系列的推移を見たり、外生変数として地域におけるスポーツ施設の状況を取り入れたりして検証したとの由。