開放経済相対乗数・補足

9/28エントリで紹介したNakamura=Steinsson論文*1Ambrosiniブログで批判されている(サムナーブログ経由)。

Isn’t creating jobs and attracting capital exactly what we’re trying to do with fiscal stimulus? Yes, but not if it means that labor and capital is coming from other States. GDP is increasing in the States that have more military expenditures but is necessarily decreasing in the States that are losing workers and capital. Because these two effects cancel each other out, the “true” fiscal multiplier is less than the 1.5 estimated by this paper.
(拙訳)
雇用を創出し、資本を惹き付けることがまさに財政刺激策の目的ではないか? 確かにそうだが、その労働と資本が他の州から来る場合はそうではない。GDPは軍事支出が増加した州では増加するが、労働者と資本を失った州では必然的に減少する。その二つの効果はお互いを相殺するので、「真の」財政乗数はこの論文で推計された1.5より小さい。


以前、バローのように戦争から財政乗数を推計する場合、朝鮮戦争については日本の特需もカウントすべきではないか、という意見を紹介したが、上記の批判はその裏返しの話と言えそうである。

*1:28日エントリではNBER論文へのリンクを紹介したが、ここでungated版が読める。また、10/2にはvoxeuに概要が投稿された