人の噂も四十九日

というのは「人の噂も七十五日」の誤用だが、株式市場での嘘の噂が効力を持つ期間は四十九日の平方根の七日、という研究結果をNY連銀が報告している


その論文で分析対象となったのは、2002年のユナイテッド航空の親会社破綻のニュースが2008年9月8日にインターネットで再浮上し、新たな破綻のニュースと勘違いされて同社の株式が暴落した一件。その時は、NASDAQが取引停止を発動するまでの僅か数分の間に76%も下落したという。ニュースが虚偽と判明した後に株価は反発したが、それでも引け値は前日より11.2%低かった。こうした極端な値動きに伴い売買高も膨れ上がった。
その後も、9月8日の引け値より17%低い価格で取引されるという日もあり、最終的に虚偽のニュースが流れる前の水準に戻したのは9月15日になってからだった、との由。


論文では、虚偽のニュースが流れなかった場合の株価を評価する簡易モデルを構築して分析を行っている。そのモデルでは、UA社の無リスク利子率(=FFレート)に対する超過リターンを、S&P500、ブルームバーグの世界航空指数、および石油価格という3つの変数の超過リターンで説明している。その結果が下図。



暴落から3営業日経過しても、株価はモデルで示される水準よりかなり(2標準偏差分)下にあった。6日後に1標準偏差下まで戻し、7日後に漸くモデルで示される水準に戻っている。


また論文では、UA社の誤報で連れ安となった他の航空会社についても分析を行ったところ、概ね同様の結果が得られたという(下図はアメリカン航空の分析例)。



さらに論文では、なぜ虚偽の情報を振り落とすのにこれだけ時間が掛かったかの分析も行ったが、明確な結果は得られなかったという。