3/23エントリで触れたマンキューのMatthew Weinzierlとの共著論文では、結論部分で、経済が総需要不足に陥った時の政策対応を、以下の4段階に分けて記述している。
- ゼロ金利下限が制約とならない時
- 経済を完全雇用水準に回復させるには、従来型の金融政策で十分。
- 財政政策は、ケインズ主義的な総需要管理の原則ではなく、古典的な費用便益分析の原則に基づいて発動されるべき。
- 政府消費は、限界効用が民間消費の限界効用と等しくなるようする。
- 政府投資は、限界生産力が民間投資の限界生産力と等しくなるようする。
- 短期金利がゼロ金利下限に達した時
- 非伝統的金融政策が、経済を完全雇用水準に回復させる次の手段となる。
- 短期金利の切り下げでは十分でない時、長期金利の切り下げが十分な手段となろう。
- 本論文のモデルによれば、長期の名目アンカーの増加により、経済を常に回復軌道に戻すことができる。
- たとえば、中央銀行が高めの名目経済成長率を目標とするなど。
- 以上の金融政策を実施すれば、財政政策はやはり古典的原則に基づいたままで良い。
- 金融政策に大きな制約が課された時
- 具体的には、短期金利がゼロ下限に達した上に、中央銀行が将来の金融政策について約束ができない時には、財政政策に果たすべき役割が出てくる。
- ただし、本論文のモデルの示すところでは、減税や政府支出の増加といった従来型の財政政策は、総需要を喚起する最適な手段とはならない。
- その代わり、財政政策は、投資のような金利反応的な支出を促すことを目指すべき。
- 要するに最適な財政政策では、可能であれば金融政策がやっていたようなことを目指すことになる。
- 金融政策に大きな制約が課され、財政政策の手段も限られている時
- 目標を定めた税政策が何らかの理由で実施できない場合は、政府は政府支出の増加で総需要を増加させると同時に、全般的な減税を行って消費を促そうとすることになろう。
- 即ち、従来型の財政政策は、あくまでも総需要管理における最後の手段なのである。