いざという時に頼りになるのは…

サンフランシスコ連銀が、「Life-Cycle Shocks and Income」という小論を3/14付けで出している(Economists ViewMostly Economics経由)。

そこでは失職、障害、離婚という3つの人生における一大事に対するケーススタディを行い、そのイベント前後で本人や家族の収入がどのように変化したか、を分析している。

失職


  • 失職前に既に収入の減少傾向が見られるが、これは、当事者の職場における立場が段々と悪化していることを反映していると思われる。
  • 失職2年後の収入は平均して9,800ドル低下する。
  • ただし、その低下は、短期的には、政府からの移転所得(概ね失業保険)で平均840ドルだけ埋め合わされる。
  • 収入低下の埋め合わせとしてより重要なのは、家族の他のメンバーの収入が増加するという労働追加効果(additional worker effect)で、それは短期的な家計収入の落ち込みを和らげるほか、2〜6年後には家計収入の伸びをもたらす。家族の他のメンバーの収入は、失職後4年で平均11,000ドル増加する。そのため、当事者の収入は前より低い水準に落ち込んだままにも関わらず、家計収入は6年後にはほぼ完全に回復している。

障害


  • 失職の場合と異なり、当事者が障害を報告する時には、収入の調整は概ね終了している。具体的には、4年前には家族の他のメンバーの収入が増え、家計収入も増加している。そして2年前には、当事者の収入は低下し始め、政府からの移転所得が上昇し始めている。
  • イベント前後の当事者の収入は平均して3,924ドル低下する。この低下は、政府からの移転所得増加945ドルと家族の他のメンバーの収入増加2,798ドルで概ね埋め合わされる。

離婚


  • 前二者と異なり、離婚の場合は当事者の収入はあまり変化せず、家族の他のメンバーと家計の収入が低下する。平均低下幅は21,397ドル。
  • 家計収入が元の水準に戻ることは無いが、かなりの部分が埋め合わされる。それは当事者の収入の伸びが継続したことと、再婚のためと思われる。政府からの移転所得はほぼ無関係。

以上から、米国人の人生における一大事に頼りにするのは、基本的に家族の他のメンバーの収入である、というのがこの小論の結論である。