電力小売市場自由化によって電力料金は低下するか?・補足

昨日のエントリでは、電力の標準提供サービス(Standard Offer Service=SOS)についてメイン州の電力会社のHPから説明を拾ってきたが、その入札はどうなっているのだろうか、というコメントを頂いた。そこで、今日はその入札について触れた部分をネットから拾ってみる。


ぐぐってみてまず引っ掛かったのが、メイン州ではなくメリーランド州のSOSに関するペプコ(Pepco)社の説明であったが、それによると仕組みは極めて単純明快である。

How does Pepco purchase supplies for its SOS customers?
Pepco follows a PSC approved competitive bid process – twice each year Pepco offers about 25 percent of the total residential SOS peak load for bids. The bids are for two-year contracts. This approach has a dampening effect on price swings.
(拙訳)
ペプコ社はSOS顧客用の電力をどのように購入するのですか?
ペプコ社はメリーランド州公益事業委員会(Public Service Commission=PSC)によって認可された競争入札過程を採ります。毎年2回、SOSを受けている全住民のピークロードの25%を入札に掛けます。入札対象となるのは2年間契約です。この手法は価格の変動を抑制する効果があります。

イメージ的には以下のような感じになろうか。

2011年6月
〜2011年9月
2011年10月
〜2012年5月
2012年6月
〜2012年9月
2012年10月
〜2013年5月
枠A(25%) 入札 契約継続 契約継続 2年契約満了
枠B(25%) 2年契約満了 入札 契約継続 契約継続
枠C(25%) 契約継続 2年契約満了 入札 契約継続
枠D(25%) 契約継続 契約継続 2年契約満了 入札


それに対し、メイン州の入札では契約期間が固定ではないようだ。同州のPublic Advocate Office*1が出している電力に関するニュースレター「Electricity Guide」のVol.9(2004年11月号)には、以下のように記述されている。

The PUC is using a more flexible standard offer bid process than in the past. Partly as the result of a request from the Public Advocate and the AARP, the Commission is seeking staggered rather than single bids. In other words, each bidder is being asked to bid up to five different “strips” of power. The first “strip” would be for one year, the next for two, the third for three, etc, with all beginning March 1. As each “strip” expires, the PUC will solicit replacement bids. This will allow for a more average, stable price over time. This will tend to reduce price spikes that occur. It may also, of course, counter the effect of periodically low prices. The PUC is holding open the option to sign up one single “strip” for one year; three steps for three years or five steps for five years. For a more detailed view, please consult the PUC’s website at http://www.maine.gov/mpuc/.
(拙訳)
公共企業委員会は以前よりも柔軟な標準提供サービスの入札プロセスを採用しようとしています(訳注:これは2005年3月の入札について述べている)。Public Advocateと全米退職者協会からの要望もあり、委員会は単一の入札ではなく、時差的な入札方法を採用しようとしています。即ち、各入札者は最大5つの異なる電力の「帯」に対し入札するよう求められます。一番目の「帯」の期間は1年であり、二番目は2年、三番目は3年、というようになっています。開始期はすべて3月1日です。それぞれの「帯」が満期を迎えると、公共企業委員会は更新のための入札を実施します。この方法により、価格が時間的に均され安定します。またこの方法には、突発的な価格の急上昇を抑えるという働きもあります。そして当然ながら、定期的に価格が落ち込むのを防ぐことにもなります。公共企業委員会は、1つの「帯」で1年ずつ契約するという方法、即ち、それを3回繰り返して3年、5回繰り返して5年、といった契約方法も許容しています。詳細は公共企業委員会のウェブサイトhttp://www.maine.gov/mpuc/をご参照ください。

*1:cf. この資料のp.68。