ジェレミー・スタイン、米国資本主義の今後を語る

昨日紹介したラジャン・インタビューの姉妹編のような形で、年末のWSJブログにハーバード大教授のジェレミー・スタイン(Jeremy Stein)のインタビューが掲載されていた。ジェレミー・スタインといってもあまり有名ではないかもしれないが、昨年の2月から7月までオバマ政権で働いており、マンキューがブログでその働きに期待するというようなことを書いていたことがある(ここここ)。
彼がオバマ政権に参加する時のWSJブログの紹介記事はこちら。また、マンキューがリンクしたハーバード大学新聞クリムゾンの紹介記事はこちら。本人のHPはこちら


ハーバードの経済学者ジェレミー・スタインは、政策策定のソーセージ工場を内部から目撃した。2009年2月から7月まで、彼は財務省のアドバイザーを務めたが、それは同省がこの国の銀行システムを救済しようと苦闘していた時期に当たる。
スタイン氏はWSJに、大恐慌以来最悪の金融危機の後という状況下、そして、米国の経済パフォーマンスが少なくとも過去60年で最悪だった10年の終わりという節目における米国型資本主義の将来について語ってくれた。


2000年代の10年間は、エンロンの崩壊やITバブルや大不況がありましたが、それによって米国型資本主義モデルの信頼が損なわれたでしょうか?
危険なのは、米国モデルへの信頼が必要以上に損なわれることですね。我々が学んだ教訓は、金融市場改革のためにやるべきことがあるということであって、モデルを丸ごと捨て去ることではありません。我が国の労働市場は欧州よりも制約が少ないですし、一人当たりのIPOは他の国よりも多い。そうしたことの多くは米国の強みとして残るでしょう。


米国モデルが機能するのに不可欠な要素は何でしょう? 束縛なき金融の技術革新と、銀行の借り入れ――つまりレバレッジ――を容認して収益を増大させるのは良いことなのでしょうか?
仮に地球上から派生商品が消滅したとしても、米国モデルの特長は数多く残ると思います。経済成長に貢献する真に偉大な技術革新の大多数、たとえばIT企業のスタートアップは、金融機関のレバレッジに制限を掛けたとしてもそれほど影響を受けないでしょう。真の技術革新の多くは、レバレッジと密接に関連しているわけではないのです。


米国モデルの必要な部分を維持した上で不要な部分を除去するには、どうしたら良いでしょう?
レバレッジの創出と、証拠金、ないし投資家が住宅や資産担保証券を買う時に払う「頭金」、を監視対象とすべきです。FRBが学んだ教訓は、すべてのバブルを積極的に潰すべきではない半面、レバレッジを伴ったバブルには十分注意すべき、ということです。


それはFRBの使命をどのように変えますか?
10年後には、中央銀行のモデルは今とは違ってきているだろうと私は思います。権限は大きくなっているでしょうが、独立性は幾分弱まっているでしょう。FRBが循環的なレバレッジ政策に関わるべきというならば、銀行の監督にももっと深く関与すべきです。そうした権限を手に入れたら、政府からの完全な独立を維持するのは政治的に難しくなるでしょう。