本日で最終回。
付録C Black-Scholes式の導出
ここでは、15日のエントリで簡単に紹介したブラック=ショールズ式を実際に導出してみる(正確には、ブラック=ショールズ式が解となる偏微分方程式を価格の確率過程と無裁定条件から導出してみる)。
原株の価格Sについて以下の確率過程を仮定する。
・・・(C-1)
また、コールオプションの価格Cは、時間t(正確には満期までの時間T-t)、原株の価格S、権利行使価格Kの関数である。
・・・(C-2)
よって
・・・(C-3)
Sがdwを含んでいるため2次微分まで考慮すべきこと、および(dw)2=dtの関係を用いたこと、さらにdtの2次より大きな項は無視したことに注意(伊藤のレンマ)。
ここで、Cの1単位買い、SのΔ=(∂C/∂S)単位売りのポジションVを考えると、
・・・(C-4)
となり、確率項が消える。従って、このポジションにはリスクが存在しないので、無裁定条件より、リスクフリーレートと同等の収益率でなくてはならない。
∴ ・・・(C-5)
あとは、この編微分方程式をCT = if ST>K then ST-K else 0 という境界条件のもとで解けば良い(但しCT、STはそれぞれ満期t=TにおけるC、S)。
[Sの2次微分=tの1次微分 という熱伝導方程式の形にもって行く]
なお、同一権利行使価格のコールオプションとプットオプションと原株の価格の間には以下の関係が成り立っているので、プットオプションの価格Pも求められる(プット・コール・パリティ;下図参照)
C - P + Ke-r(T-t) = S