フィラデルフィア連銀が開催したフィンテックに関するコンファレンスでブレイナードFRB理事が講演し、アルゴリズム、処理能力、ビッグデータという3つの主要な構成要素が入手しやすくなった結果、AIの金融機関にとっての魅力が増したが、特に以下の5つの特長が注目されている、と説明している(H/T Economist's View、Mostly Economics)。
- 優れたパターン認識能力
- 直観的や従来のモデルでは明らかとはならない変数間の関係を識別
- コスト効率性
- 結果到達のパフォーマンスを低下させることなくコストが下げられる
- 処理の正確性
- 高度の自動化により、人間による入力、およびそれに伴う「オペミス」が抑えられる
- 予測能力の改善
- 従来の手法に比べた投資パフォーマンスや信用拡大の改善
- 構造化されていない大量データの処理
- 従来の手法に比べて効率的かつ効果的に処理できる。また、事前に関数形を特定する必要なく「データ任せ」でパターン識別や予測構築を行う機械学習手法もある
また、金融安定理事会が挙げた、AIが銀行業に影響するであろう4つの分野を紹介している。
- 顧客サービス
- 拡張した顧客データを新たなアルゴリズムで処理し、信用度の評価や保険の価格付けに活用
- オペレーターのチャットボットへの置き換えによる待ち時間の削減
- バックオフィス業務の強化
- 取引や投資戦略への適用
- 価格の動きから新たなシグナルを識別
- 顧客の過去の取引行動を用いて次の注文を予測
- コンプライアンスやリスク削減への応用
- 既に、不正行為の検知、資本の最適化、ポートフォリオ管理などに使われている
さらに、AIは従来の規制監督の枠組みで対処できるという国家科学技術会議や財務省の見方を紹介し、金融のAI利用に関連する既存のガイドラインとして以下の3つを挙げている。
- Guidance on Model Risk Management (SR Letter 11-7)
- Guidance on Managing Outsourcing Risk (SR 13-19/CA 13-21)
- Risk-focused Safety and Soundness Examinations and Inspections (SR 96-14)
ただし、AIの不透明性と説明性の無さは問題となる、と述べ、講演の後半ではその点について論じている。