Alan Auerbach(UCバークレー)とMichael Devereux(オックスフォード大)が、共和党の仕向け地キャッシュフロー税(DBCFT)を支持するNYT論説を書いている(H/T Econospeak)。その中で、良くある批判に対して以下のように反論している。
- 複雑すぎる
- 十分に累進的ではない
- 政治的に左派の人からこうした批判があるが、実際には現状より累進的になる。
- この税制の税負担は企業資本の所有者にまともに掛かる。現状では、建設的な投資が税率の低い国に流れるために賃金が下がる労働者に一定程度掛かっている。
- 輸入型産業から輸出型産業への所得再分配が起きる
- 国境調整税は関税であり、従って貿易障壁となる
その上でAuerbachとDevereuxは、世界の法人税引き下げ競争に対応するため、こうした税制改革が必要なのだ、と力説している。
EconospeakのProGrowthLiberalは、この論説を受け、各国の法人税と付加価値税の税率を比較し、以下のように書いている。
Japan is an interesting case as they went to a territorial system (ending the repatriation tax) a few years ago but they also are very diligent in enforcing transfer pricing. They also lowered their profits tax from just over 40% to just over 30% as they have been raising their VAT rate, which is scheduled to be 10% in a couple of years. The Senate Republicans seem confused if not nervous about Paul Ryan’s DBCFT ideas. Their preference is to simply lower the 35% U.S. tax rate to something akin to what we see in Europe and switch to a territorial system. If we decided to also vigorously enforce transfer pricing and also passed say a 10% VAT, then maybe all this controversy go away. In other words – let’s be Japanese.
(拙訳)
日本は、数年前に源泉地国課税にシフトした(配当還流税を廃止した)一方で、移転価格税制の適用に非常に熱心、という点で興味深い事例である。彼らはまた、収益税を40%強から30%強に下げつつ付加価値税率を引き上げており、同税率は数年以内に10%となる予定である。上院の共和党議員は、ポール・ライアンのDBCFT案に対し、苛立っていると言わないまでも困惑しているようである。彼らは単に35%の米税率を欧州レベルまで引き下げて、源泉地国課税に切り替えることを望んでいる。もし我々がさらに移転価格税制を積極的に適用し、例えば10%の付加価値税を成立させたならば、こうした議論はすべて無くなるだろう。言い換えれば、日本型で行こう、ということである。