サマーズ「FRBも金融政策の総括的な検証をすべし」

というのはやや意訳に過ぎるかもしれないが、サマーズが火曜日にダラス連銀主催のフォーラムで講演し、FRBの金融政策のスタンスに対し以下の4点の修正を求めたという

  1. 中立金利が今やゼロに近く、見通せる限りの将来にわたって2%以下にとどまる可能性が高いことを認めること。
    • 中立金利は下がりこそすれ上がる根拠は見当たらない。
  2. 市場予測よりも遥かに引き締め気味の金利予測を行い、市場にその予測が無視され、結局市場が正しかった、ということを繰り返した結果、自らの信認を傷付けたことを認めること。
    • 昨年12月の利上げが無ければ、生産もインフレ率も失業率も、FRBの現在ならびに将来の目標にもっと近付いていたはず。
  3. 失業率が低下した景気拡大期の末期にはインフレ率が2%を少し超えることを容認する――どうせ次の景気後退期にはインフレ率は下がるのだから――という姿勢を明確にし、インフレ目標が対称的なものであるという理念を実地に移すこと。
    • インフレ期待が2%を超えて上昇する見込みのない時に、経済を抑制する必要はないのは明らか。
  4. リスクが非対称的であることを明確にすること。
    • もし経済が景気後退に陥れば、デフレとの極めて苦しい闘いを強いられる日本シナリオが現実のリスクとなる。反面、インフレ率が2%を超えるリスクは大きくなく、しかもそれはむしろ望ましいことであるし、いざとなればこれまで何度もしてきたように金融政策を引き締めて経済の過熱を抑えればよい。

その上でサマーズは、9月に利上げをしないという決定に反対したエリック・ローゼングレンの議論を、ブレーキを踏むことによって車を止めないようにすると言うようなもの、と槍玉に挙げる一方で、ブレイナード理事を、リスクの非対称性について素晴らしい講演をした、として称賛している。