5年前に金融政策の効果の非対称性について簡単な考察(というほど大袈裟なものではないかもしれないが)をしたことがあったが、リッチモンド連銀のRegis Barnichon、Christian Matthes、Tim Sablikが、Economic Briefの最新号でそうした非対称性についての分析を行っている(H/T Economist's View)。そこでは、金融政策の引き締めと緩和で効果に非対称性が生じる理論的理由として、以下の3点を挙げている。
- 異なる金融環境下での貸し手と借り手の行動
- 価格と賃金の下方硬直性
- 値下げ調整というものがあまり行われないほか、企業も士気低下を恐れて賃金をあまり下げない。こうした価格と賃金の下方硬直性のため、企業は金融引き締め政策に応じて価格よりはむしろ生産を下げる。
- 一方、価格と賃金は上方にはそれほど硬直的ではない。そのため、緩和政策は生産よりも価格の上昇を促す。
- 景気循環の影響
レポートの後半では、「Gaussian Mixture Approximation」という新たな手法を用いて従来よりも明確に金融政策の効果の非対称性を検出した、という結果を報告している。