マンキューがユタ州で開かれたコンファレンス*1に講演者として出席したところ、別の講演者――学者ではなく政治家だというが、マンキューは敢えて名前を伏せている――が合衆国輸出入銀行の再認可を訴えたという。Wikipediaによると、同行は議会によって定期的に再認可されてきたが、次は今月末に期限が来るとの由*2。
マンキューは、その政治家が輸出入銀行を存続すべき理由として挙げた3項目を紹介すると同時に、それらに逐一反論している。
- 雇用創出
- もちろん雇用を創出するだろう。もし政府が全ての企業の名前を帽子に入れ、幾つかをランダムに取り出して、生産などの単位に基づく補助金を与えたならば、それらの企業は事業を拡張して人員を増やすだろう。しかし、それによって正しくない職が創出される可能性もあるため、良い政策とは言えない。
- 財務省は元を取っている
- 本当にそうか? もし輸出入銀行が本当に儲かる事業ならば、民営化できるはず。政府が輸出入銀行を売却しようとしても、ゼロではないにせよ大した額にはならないに違いない。輸出入銀行の活動が実際に利益の出るものならば、国営銀行がやる必要はない。
- 他の国々も自国企業に同様の補助金を与えている
- だから何だというのか? もし他国が企業に手厚い待遇を与えているとしても、米国が、公平を期すためなどと称してそれを真似る理由は存在しない。他国の悪しき政策を輸入する必要は存在しないのだ。
マンキューは、輸出入銀行の再認可を訴える理由がこの程度のものならば、再認可すべきではない、と述べている。
*1:「Club Mitt」と呼ばれているとのことなので、多分このソルトレイクトリビューン記事で報じられている会合。
*2:昨年9月に今年6月まで再認可される前の動きについてはこちらの東洋経済記事で報じられている。