私の名前はカルメンです

最近のラインハート=ロゴフ論文を巡る騒動で一躍渦中の人となった感のあるカーメン・ラインハートのインタビュー記事をIMF掲載しているMostly Economics経由)。以下は彼女の共同研究者だったギレルモ・カルボのラインハート評と、ラインハート自身の自らの方法論の説明部分の引用。

According to Calvo, now at Columbia University and one of the profession’s foremost theoreticians, “Carmen does not fit the mold of the typical academic economist, who spends much of his or her time exploring pointless extensions of the dominant paradigm. She is an original, driven—first and foremost—by strong intuitions, which she then tests by going from a thorough search of available evidence to the application of state-of-the-art econometrics.”

Reinhart said she never made a calculated decision to emphasize the empirical over the theoretical; it is just who she is. “Data is good. It is central to me. In the end, it is about solving puzzles, about solving mysteries. And the way I go about solving mysteries is [by] delving into data and looking for empirical regularities, for recurrences of patterns. . . . You know, when Sherlock Holmes says, ‘The game is afoot.’”
(拙訳)
現在はコロンビア大学に務めている学界の代表的な理論家の一人であるカルボは次のように述べる。「カーメンは、主流派のパラダイムを無闇に拡張することに自分の時間の多くを費やすような学界の経済学者の典型的なタイプには当てはまりません。彼女は独創的であり、何よりもまず強い直観によって動いており、その直観を、利用可能な証拠を徹底的に調査したり、最先端の計量経済学を適用したりして確かめるのです。」
ラインハートによれば、彼女は意識して実証を理論に優先させたことは無く、自然にそうなったとのことである。「データは素晴らしい。それが私の研究の中心です。最終的な目的は問題を解決すること、謎を解くことにあります。そして私が謎を解くやり方は、データを掘り下げ、実証的な規則性、パターンの繰り返しを探すことです。・・・シャーロック・ホームズの言う『事件の始まりだ』という感覚ですね。」

この引用部の後に、ロゴフとの共同研究の経緯について触れられている。記事ではまた、キューバから家族が亡命してきたという生い立ちや、ファッションデザイナーを目指していたのが入学したマイアミデイド大学では服飾バイヤーの講座しかなく、その中で経済学に引き寄せられていった、というエピソードも紹介されている。