同情はともかく金をやろう

以前、deserving poor(情状酌量に値する貧者)とundeserving poor(情状酌量に値しない貧者)に関する論争を紹介したことがあったが、Chris Dillowが、あるリバタリアン

https://twitter.com/LibertarianView/status/261211203425165312:twitter
(拙訳)
なぜ左翼はdeserving poorとundeserving poorの区別を認めようとしないのか? なぜ無気力、怠惰、無責任な連中を支援する必要があるのか?

というツイートに応えて、undeserving poorの支援に反対すべきでない理由を6つ挙げている(H/T タイラー・コーエン)。

  1. そもそもリバタリアニズムの2つの偉大かつ正しい考察は、政府の知識は限られているということと、政府の介入は人々がそれを悪用する機会を作ってしまう、ということだったはず。政府がdeserving poorとundeserving poorを見分けることの難しさと、正直なdeserving poorの負担が増す一方で狡猾なundeserving poorがうまく立ち回る可能性を考えれば、リバタリアンが両者を区別せよと主張するのは意外。
  2. undeserving poorと思われた人が雄飛のための雌伏だった、ということもある。J・K・ローリングを見よ。
  3. 失業者のうち怠け者は少数者に過ぎない。英国の国家統計局のデータによると、失業者のうち生活に満足しているものは16.3%に過ぎず、45%は満足していない。就業者ではその割合はそれぞれ24.4%と20%になる。
  4. 怠けているように見える人も、職探しで現実を思い知り、諦めてしまった結果なのかもしれない。自らの現実を思い知った人を罰する理由はあるのか?
  5. deserving poorを助けたいなら、怠け者に失業手当を与えて労働市場の競争を緩和するのは良い手かもしれない。また、無責任な人から収入を奪っても、労働意欲を掻き立てるとは限らず、犯罪に走ることを助長してしまうかもしれない。そうなると、deserving poorがスリや強盗にもっと苦しむことになる。
  6. リバタリアンは政府による道徳の押し付けに反対していたのではなかったか? 福祉全般に反対するならともかく、deservingとundeservingを区別せよというのはリバタリアンにあるまじき主張。

その上でDillowは、労働のインセンティブを与えつつundeservingも援助するシステムとして、ベーシックインカムを推奨している。