イールドカーブへの政策の効果

SF連銀レポートが利回り構造に各種の経済ニュースが与える効果について簡単なイベントスタディを行っている(Mostly Economics経由)。以下にそのファインディングを箇条書きに並べてみる*1

  • 2011年7月8日の労働統計のイベントスタディ
    • 6月の非農業部門雇用者数の増加は18,000に留まり、予測値の105,000を大きく下回った。
    • すべての金利が下がったが、その幅は満期によって異なった。
    • 将来の異なる時点同士を比較するためにはフォワードレートの方が適している。それを見ると、7月8日の場合、市場は2-4年先の政策金利が最も低下すると見込んでいた。

         

  • 統計がイールドカーブに与える影響のモデルを構築
    • このモデルによれば、雇用のサプライズは2年先の金利に0.07%ポイントの変化を与えるが、6年以上先の金利にはあまり影響しない。一方、コアCPIのサプライズの影響は雇用よりは小さいものの、より長い年限に亘る。

         

  • 2007年の3つの金利政策のイベントスタディ
    • 2007年9月18日の0.5%の利下げでは、引き下げ幅が市場を驚かせ、短期金利は下がった。だが、長期金利はむしろ上がった。これは、経済成長見通しの上方修正を反映したためと思われる。
    • 2007年10月31日の0.25%の利下げでは、引き下げ幅や声明の文言が市場の予想を下回ったため、むしろ引き締め気味と捉えられ、中短期の金利は上がった。
    • 2007年12月11日の0.25%の利下げでは、利下げ自体は予期されていたため、短期金利はあまり動かなかった。しかし、声明の文言の変化によりさらなる緩和期待が生まれ、中長期の金利が大きく下がった。

         

  • FOMCの声明がある日は、他の日に比べてフォワード金利ボラティリティが高い
    • この図からも、金融政策の影響が短期だけではなく中長期の予想にも及ぶことが分かる。

         

*1:[2017/2/11]画像のリンク切れ対応。